・・・・N・・・

 

私はあの女が大嫌いでした。

ふしだらで

自分の事しか考えていなくて

周りを不愉快にする女・・・。

 

私を虐待していた女。

私に付きまとう女。

私を不幸に貶める女。

醜い女。

 

そして

 

そんな女のDNAが

 

私にも受け継がれているという事実が

私にとって最大の不幸でした。

 

それは誰にも知られたくなかった。

 

この世から消してしまいたい事実。

 

誰にも知られたくない事実・・・。

 

 

 

それなのに・・・

 

あんなに毛嫌いしていたあの女

より・・・

 

私は・・・

あの女よりも・・・

 

穢れたことをしてしまいました。

 

きっと私は

無意識に

あの女が死んでしまえば

自分の不幸がなくなって

あの女が死んでしまえば

私にあの女のDNAが受け継がれていることは

誰にも知られない。

 

そう思っていたんだと思います。

 

だから

私は

 

殺意を持って

 

あの女を刺しました。

 

松本弁護士が

私をうまく弁護してくれました。

おかげで

すぐに出所することができましたが

 

本当に私は罪人なんです。

 

だから

誰も

私に優しくしないでください。

 

私は

そんな風に優しくされる価値のない人間です。

 

母親殺しは大罪です。

 

あの女がいなくなれば

幸せになれるなんて

 

相変わらず私は浅はかで愚かでした。

 

もう

私に幸福が訪れることはないでしょう。

 

 

 

子供の頃

育ての両親と幸せでした。

 

 

・・・・・

 

 

幸せになりたかった・・・な・・・。

あの頃みたいに・・・。