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あの女が自分がわたしの実の母親だから

一緒に暮らす義務があると言い出しました。

 

私は一緒にいた両親が

自分の両親だと信じていたので

こんなでたらめを受け入れる気などなかった。

 

するとあの女が

私を段ボール箱の中で大事に育てていた・・

と言うようなことをほのめかしはじめたのです。

 

段ボールの中で・・・

 

私は暗い所や狭いところが

苦手でした。

そして

なにか明るい眩しい光が降り注ぐ記憶・・・

そんな記憶がありました。

 

それは

段ボール箱の中で

生活させられていたから・・・?

箱を開けた時

眩しかったから・・・?

 

相葉くんのご両親に

訊ねてみました。

家族ぐるみのお付き合いだったので

何か知っているかと思いました。

 

ご両親は

なかなか話してくれませんでしたが

ようやく

私が4歳の頃養子にもらわれた・・・

と教えてくれました。

本当は両親が教えたかったことだろうけど

亡くなってしまったから

自分が伝えた方が良いと考えた。

といっていました。

ただ実の親のことは知らない様子でした。

 

私は戸籍をし選べました。

私の欄には

「養子」とありました。

 

あの女が私の母親なのか・・・。

それとも

ただのでまかせなのか・・・

 

しかし

私があの女と一緒に住むのを拒むと

あの女は

相葉くんのご両親に脅しをかけると言い出したのです。

「私の子供を誘拐した」と・・・。

 

そのころの私は

あまりの環境の変りようにひどく戸惑っていました。

もっと良い方法があったと今なら思えるのですが

その時の私は

相葉くんの家から姿を消すことしか思いつかなかった。

 

相葉くんと家族に迷惑はかけられないし

何よりあの女から逃げたかった。

 

相葉くんは

両親が死んで落ち込んでいる私を

優しく見守ってくれました。

変に励ましたりせず

静かに寄り添ってくれた・・・。

大好きな友人・・・。

 

そんな彼を

あの女の餌食にさせてはいけない・・・。

 

ここから出て行こうと決めてから

私は

相葉くんの姿を焼き付けようとしました。

彼の飛び切りの笑顔

今でも

思い出します。