・・・O・・・・

 

私が彼に始めた会ったのは

もう10年前になると思います。

2~3人の若い男性から

暴行されていて

私が助けたんです・・。

助けたといっても

警察に通報するぞって言っただけですが。

さんざん殴る蹴るをした後で

もういい、と思ったのでしょう。

男たちは逃げて行きました。

 

私は彼に声をかけました。

でも息をするのがやっとなくらいで

救急車を呼ぼうとしたのですが

その時彼は私の腕を強く握ったんです。

通報するな・・・ってことだと思いました。

 

それで私は

タクシーで彼を家に連れて行ったんです。

タクシーの運転手は変な顔してましたけど

何も言わず車を走らせてくれました。

 

彼は私にくったり寄りかかって・・・。

綺麗な顔してるって思ったのを覚えています。

 

私は彼を家に連れて行きました。

さんざんやられたはずなのに

顔だけ、

傷もあざもないんです。

だからさっき

綺麗な顔立ちだって気付いたんですね。

 

彼はひどく汚れていたので

無理かと思ったんですが

シャワーを浴びるか聞いたんです。

そしたら

浴びたいって言ったので

私はタオルや

着替えを用意しました。

バスローブは何枚かあったので。

それを着てもらえばいいと思いました。

彼の着ていた服は

擦れて切れたりしてぼろぼろでしたから。

グレーの光沢のある上質のシャツでした。

バスルームまで肩を貸そうかと思ったんですが

彼はひとりで行けると言って

ふらふら歩いて行きました。

 

私は彼が倒れてしまうか心配で

そのあとをついて行き

バスルームの前で待ちました。

 

シャワーを終え出てきた彼は

ドアを開けたところにいた俺を見つけ

少し驚いた顔をしてから

不敵に笑って

濡れたまま

私に抱き着いてきました。

そして

「・・・やる?」って・・・。

 

要するに

誘われたんです。

 

私は少し驚きましたが

すぐに納得しました。

私ホストクラブを経営していますから

同じ匂いって言うんですか。

それに服装。

彼もホストだとわかりました。

しかも

「アフター」があるクラブで働いている・・・。

 

私は彼をできるだけ優しく引き離しました。

そして彼の両肩を支えながら

「やらない。

俺はあんたを助けただけ。」

と言いました。

俺の顔を見ていた彼は

疑っているのか鋭い目つきで私を

睨んでいました。

色素の薄い茶色の瞳が

白い肌に似合っていました。

 

睨む彼も綺麗だった。

 

バスローブを着せようとすると

「俺の服・・・」と言って

抵抗しましたが

汚れていると言い聞かせ無理やり

バスローブを着せました。

彼は疲れ切っていて

抵抗なんてできない状態でしたから

簡単に着せられました。

そのまま

リビングのソファに座らせると

少し落ち着いたようでした。

コーヒーを飲むか聞くと

コクッとうなづいたので

私はコーヒーを淹れ

彼と向かい合って一緒にコーヒーを飲みました。

 

彼は少しほっとしたように見えました。