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廃墟となった

工場前の空き地で

対決が行われた。

 

二宮は

松本や相葉やそのほか大勢のメンバーを

引き連れてやってきた。

 

俺はもうR高の番長は降りたから

一人で対決に臨もうとしたが

心配した岸とゆーりが付いてきた。

 

二宮が軽やかに前へ出る。

俺はできるだけ大股で力強く前進した。

 

「行くぞ」

俺が大声を出した。

「少しは強くなった?」

二宮の目の色が変わった。

「ああ」

できるだけ上から口調でドスを聞かせて答える。

 

「俺はおまえを倒してお前の弟子にしてもらう!」

 

そう言いながら俺は彼の殴りかかった。

 

彼は腰を少し落としてひょいっとよける。

 

間髪いれず次のこぶしを突き出す。

 

「俺が弟子になったらおまえは毎日リーゼントだ!」

 

また軽々よけられた。

 

「大野さん、素早くなったね。」

 

彼は俺のこぶしや蹴りを飄々とよけるだけで

なかなか仕掛けてこない。

・・・遊ばれてるな・・・。

 

これじゃ、だめだ。

俺の体力が消耗するだけなのが目に見えている。

それなら

よけられないように・・・

俺は抱き着くように身体ごと彼にぶつかり

そのまま彼の両腕を取って

彼の背中にまわした。

彼は驚く様子もなく

「羽交い絞めだね。」

と言ってほほ笑んだ。

 

彼の吐く息がとさらさらした髪が

俺の肌をなでる。

 

このまま俺力を入れて抱きしめれば

俺の腕の中で粉々になるんじゃないかと思うほど

華奢な身体。

 

粉々にして

俺のものにする?

 

ふっと妄想したすきに

彼が少し体を動かしたかと思うと

あっという間に

後ろ手にされた彼の手は

俺の手からすり抜けた。

 

「キスでもするのかと思ったぜ。」

 

キス・・・?

 

キス・・!

 

不敵な笑みを浮かべて俺を見る二宮。

この前戦った時のように

彼は強い。

これは古武術って言うのか?

かなわない?

 

それなら

どうせかなわないなら・・・

 

俺は再び彼に飛びかかると

彼の両ほほを力強く挟み

ぎゅっと

キスをした。