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月曜日の午後、授業をさぼって

俺は一人でA高校に向かった。

 

校門で

彼が来るのを待つ。

二宮を

 

何人もの生徒が

俺を見て少しよけて帰って行った。

 

そして

彼の姿が見えた。

松本と相葉と他に数人の仲間と一緒にやってた。

俺は彼らの前に出た。

一瞬みんなが身構えたのがわかったが

俺はすぐにその場に土下座した。

 

「二宮さん。俺を弟子にしてください!」

 

一瞬、間があって

すぐにみんなの嘲笑が聞こえた。

そしたら二宮が

俺の前にしゃがんで優しい口調で言った。

 

「大野さん?あんたバカなの?

一人できたからタイマン張るのかと思ったら・・・。

あんたはR高のリーダーでしょ?

弟子入りってどういうこと?」

 

「この間は失礼しました。

3人で1人に飛びかかるなんて卑怯でした。

それにもかかわらず俺たちをいとも簡単に

打ちのめした姿にとてもかなわないことを自覚しました。

俺も強くなりたいんです。

どうかお願いします。」

 

俺は頭を上げずに

大声で言った。

 

俺が出した答えは弟子入り。

そうすることが

彼を知る

一番の近道だと思ったからだ。

 

 

もう一人俺の前にしゃがんだ奴がいる。

「あんたも、惚れちまったな?

二宮さんに。」

この声は相葉だ。

 

「頭下げりゃ、弟子入りできるなんて思うなよ。」

頭の上から怒鳴り声が聞こえた。

これは松本だな。

 

「まあまあ・・・。

大野さん、顔を上げて。」

 

二宮が言った。

俺は顔を上げる。

 

「大野さん、熱意は伝わったけど

そもそもあんたはR高の生徒だし

しかもグループの番長だ。

人生無理なこともあるんだよ。」

 

かわいい顔で作る笑顔と裏腹な

古風で硬派なセリフ。

 

少し長めのさらりとした前髪が

ちっともヤンキーには見えなくて

きれいだ・・・。

 

「髪・・・」とつい口にした。

 

「んああ?」

 

「すみません!髪がきれいだと思いまして!」

 

俺はまた頭を下げた。

 

「うふ。学校ではしないことに決めてるけど

俺のリーゼント最高なんだぜ。」

 

俺は二宮のリーゼントを想像する。

こんなかわいい顔に似合うのか?

どんな姿なのか想像していると

「みたい?」

って二宮が言ってきた。

俺は「はい!」と返事をする。

 

「じゃあ、俺と対決しよう。

あんたが勝ったら見してあげる。」

 

二宮は

硬派な口調から一変して

ウキウキ陽気な口調になった。

 

「そして勝ったら弟子にしてあげるね。

あんた弱いから、一週間猶予あげる。

鍛えてきてね♡」

 

俺は急に弟子入りできるチャンスをもらった。