「…どうしたの?」
どんな顔をしていいかわからなくて、ついそっけない口調になった。
「あ、あのさ。今日の…誕生会、いつものように俺の家でやらないのか?」
お隣同士家族ぐるみで仲の良い私達は、物心つく頃からお互いの誕生日は一緒にお祝いをしてきた。今年もおばさんが用意をしてくれていたんだけど…友達とお祝いするからって断ったんだ。
本当は友達と約束なんてしていない。平助と“幼馴染”としてお祝いしてもらうのが、どうしても耐えられなくって…。
「あ…うん。友達と約束があって…ごめんね。」
「…っ!」
そう平助にも言うと、平助が思い切り傷ついたような顔をする。
「平助…?」
「…なぁ、それって…誰?」
「別に、誰でもいいでしょ。」
私はふいっと顔を逸らした。
「もしかして…総司、とか?」
「えっ…!」
総司…って最近よく平助と一緒にいる子だっけ。何で急に沖田くんの名前が出てくるんだろう…と思っていると、
「きゃっ…。」
「行くなっ!!」
ぐいっと腕を引っ張られ、平助がぎゅっと私のことを抱き寄せた。突然の出来事に私の頭の中が真っ白になり、胸がドキドキと鳴っている。
「へ、平助…?」
「あっ、わ、悪りぃ…。」
そっと名前を呼ぶと、平助は慌てたように私のことを離した。俯いたその顔は耳まで真っ赤になっているように見える。
「俺、お前のこと誰にも渡したくないんだ。」
「それってどういう…?」
「チョコ、俺はお前のこと単なる幼馴染だなんて思ってない。」
「・・・!!」
「だから…総司のところになんて行かないでくれ。」
・・・そう。それはついさっきの話だ。教室に残っていた俺の元に総司がやってきて、
「今日はチョコちゃんの誕生日でしょ?僕、チョコちゃんのこと誘うから♪…いいよね?平助。」
なんて言いやがって…それで、ようやく気が付いたんだ。俺はあいつのことを誰にも渡したくねぇって。
「好きだ、チョコ。」
「平助…。」
「チョコは?俺のことどう思ってる?…もしかして、幼馴染のままがいいか?」
ストレートに思いをぶつけてくれる平助の言葉を聞いて、
「…っ。」
私の目からは涙がこぼれてきた。
「わっ…何で泣いてんだよ。やっぱり、迷惑か?総司の方がいいのか??」
「違うよ、ばか。」
平助のあまりの慌てっぷりと鈍感さに笑いが込み上げて、泣き笑いのような顔になってしまう。
「これは嬉し涙だから。」
「!!じゃぁ…。」
「私も、平助のことが好きだよ。幼馴染だなんて、もうとっくに思ってなかった。」
「チョコ…。」
平助の手が伸びてきて、今度はそっと私を包み、耳元で囁いてくれた。
「幼馴染卒業の日と、お前の誕生日におめでとう…だな。」
*終*
おまけ☆
斎藤「総司、こんなところで何をしている?」
沖田「ん~、別に何も。」
斎藤「あぁ。平助とチョコ…ようやくおさまるところにおさまったか。」
沖田「なんか…無性に邪魔してやりたくなってきた。」
斎藤「…やめておけ。馬に蹴られるだけだ。」
沖田「あ~ぁ、つまんないの。」
斎藤「仕方がない。今日は俺が付き合ってやる…行くぞ。」
沖田「ホント??…一くんって、時々優しいよね。」
斎藤「お、おい…総司っ…腕を絡ませるなっっ。」
沖田「♪♪・・・あ、チョコちゃん、お誕生日おめでとう~。」
斎藤「そ、そんなにひっつくな…こら、離れろーー!!」
*おしまい*