土方の去った部屋では、



「おい、総司。ほんとに仕掛けてきたのか?」



「当たり前じゃないか。平助。」



手拭いで墨を落としながら、総司は答える。



「すぐに叫び声が聞こえて、ここに飛んでくると思うから…」



「は?」



「僕はいないって言ってね~。」



手をひらひらさせながら部屋を出て行く。三人は一瞬沈黙するが、気を取り直して、再び飲み始める。



総司の悪戯は続く。なぜそれほどまでに土方へちょっかいをかけるのかは誰もわからない。言葉で言っているわりに、嫌いなわけではないと思うのだけど…。



「ま、考えてもわからねぇもんはわからねぇ。いいから飲もうぜ。」



「そうだな~。」



新年の祝い酒はまだまだ続きそうだ。





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つい余計なことをしてしまった。さっきの続きをさっさと終わらせてしまわねぇと…そうわずかに悔いながら部屋へと足を進める。さっと襖を開けて文机に向かおうとするが…



「なにっ!」



足元には、しめ縄飾りのような縄がぴんと張られていて、思わずつんのめりそうになる。慌てて手をつこうとして先には…



「・・・!」シュッ!!



腰の刀を抜いて急に目の前に現れたものを薙ぎ払う。縄に足を引っ掛けて転びそうになった先にあったものは、そう。正月に家々の玄関先に置いてある、かど松だった。それも、竹の良く尖った…。



「はぁはぁ。あ、あぶねぇ!」



そのまま転んで倒れていたら、こいつが体にぐさりと刺さっていたかもしれない。こんなたちの悪い悪戯をするのは、この世に一人しかいねぇ。



「…総司の野郎!!!!」



怒りで額がぴくぴくと震えている。



「今日という今日は!とっ捕まえてやる!」



どたどたと部屋を出て、総司を探しに行くが、新八の部屋に戻っても、本人の部屋に行っても総司の姿は見つからねぇ。どこに隠れやがった。



「ふぅ…ったく!」



怒りながら廊下を歩いていると、前からお盆にお茶を乗せた千鶴がきょろきょろしながら歩いてくる。



「どうかしたのか?」



「あ、土方さん!良かった~。」



「何が良かったんだ?」



「土方さんを探していたんです。お茶、入れてきたんですけど。お部屋にいらっしゃらなかったので…。」



そう言えば喉が渇いたな、と改めて実感する。



「そうか。助かる。ちょうど喉が渇いてたんだ。」



そう言って千鶴から湯飲みを受け取り、そのまま一気に飲み干した。



その途端…。



「ぐッ…。」



と土方は倒れ込む。それもそのはず。このお茶は・・・



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新八の部屋から勝手場にやってきた総司。用意したのは…土方さんようの湯飲みにお茶。と言ってもその中身は…



「うん、これ。色は煎茶みたいだし、匂いもあまりない!酒屋の主人の言った通りだなぁ。」



そう。結構強めの酒だった。その時、勝手場の前を千鶴が通りかかる。



「あ、千鶴ちゃん。ちょうど良かった。土方さんにこのお茶を持っていってくれない?…多分喉が渇いている頃だと思うから。あ、でも、僕からってことは言わないでね。」



「…?はい。わかりました。」