ここは総司の部屋。



「どうしたんだよ、総司。新年早々何か用か?」



「新八さん、今朝…屯所を抜け出してたでしょ?」



「…ドキ!!なんでそれを?!」



「ちょうど厠に起きたらさ、三人でこそこそ出て行くのを見ちゃったんだよね~。」



「おいおい総司。で、何が言いてぇんだ?」



「左之さん…もし土方さんが勝手に屯所を抜け出していたことを知ったらどうなるかなぁ??」



「ばっ、馬鹿。総司、まさかと思うけど、告げ口したりしねぇよな?」



「それは、僕のご機嫌次第だよ。平助♪」



「はぁぁぁ。お前ってやつは…。で、何がお望みだ?」



「うん。ちょっとだけ、協力してほしくって。」



「協力?」



「土方さんの部屋にこれを仕掛けようと思うんだけど、その為の時間かせぎをして欲しいんだ。」



総司が出してきたものは、お正月にどの家でも飾るアレだった。



「へ?そんなんでいいのか?…あ、いやでも、時間かせぎったって、さすがにもう部屋に戻っちまっただろ、あの人。」



「簡単だよ。これ、貸してあげるから。」



次に出してきたのは、こまに凧にかるたに羽子板…童のお正月遊び道具だった。



「懐かしいなぁ。それにしてもよくこんなに集めたな。」



「近所の子たちに前もって借りておいたんだ。」



「でも、これでどうやって土方さんを部屋から出すんだ?誘っても一緒に遊ぶとは思わねぇよ。」



「いつも通りでいいんだ。」



「いつも通りってぇと?」



「馬鹿騒ぎして、襖の一枚でも破ってお説教されてくれれば♪」



「…総司。それじゃぁいつも俺らが馬鹿騒ぎして怒られてるような言い方じゃねぇか。」



「あれ?違った?」



満面の笑みの総司。新年にふさわしい悪戯を思いついてワクワクしている子どものようだった。



「…あー、はいはい。お前はそういうやつだよな。」



「そうするには、アレがたりねぇな。」



にやっと笑って見せたのは新八。



「だな。」



左之も相槌を打つ。



「アレって何だっけ?」



分からないのは平助だけのようだ。



「もちろん、新八さん。用意しているよ。…はい、お酒。」



ごろごろと酒の入った瓶が出てくる。悪戯の為に必要なことに労力は惜しまない総司の熱い思いが伝わるかのようだ。



「さすが、総司は分かっているなぁ。」



「よろしくお願いしますね。土方さんが出てきたらこっそり部屋に行って、こっちの準備が出来たら、僕も遊びに参加させてください~って形で戻ってきますから。それまで足止めしておいてくださいね。」



「おうよ、任せな。」



「大丈夫かな~…。」



「大丈夫だって、平助。近藤さんだって、自由に過ごしてくれって言ってたじゃねぇか。」



そんななわけで、総司といつもの三人による、楽しいお正月の企みが始まった。