++++++++++++++
「山崎、この山の上にダンプで雪を運ぶぞ。」
「わかりました!」
俺達はもくもくと雪を乗せては運ぶ。すでに、除雪車によって端の方にできていた雪山の上に、新たに雪を押し上げていく。見た目には足場もしっかり固まっているように見え…俺は、油断した。
「…うおっ。」
ズボッと雪に足を取られてしまった。
「大丈夫ですか??」
「あはは~はまっちゃいましたね~斎藤さん。」
雪かきに出てきていた先生二人に見られてしまったようだ。なんと、無様な。
「む、笑ってないで…どうにかしてくれぬか。」
「ごめんね~。あまりにもお約束すぎてさ。」
さばさばとした姉御肌の先生のようだ。俺は引っ張ってもらい雪山から足を引き出す。
「ふぅ。では、今一度っ!」
次こそは…との思いで、雪山にダンプを押し上げていく。だが、その途中でやはり…
ずぼッ!!
「・・・。」
「斎藤さん…。」
「山崎、その憐みのこもった顔はやめてくれ。」
「あははは~斎藤さんって、本当に面白いですね。」
「…何故。どのあたりが面白いと言うのだ?」
ずぼずぼと雪に埋まりながらもなんとか必死で駐車スペースを雪かきしていただけなのだが…。
「ん~…全部、です。」
満面の笑みでそう言われるともう返す言葉がない。
「まぁ良い。…ここはこのくらいでいいだろうか?」
「このくらいで…っていうか、もうこれ、完璧ですよね?主任。」
「まぁまぁ!見事ね~。さすがは副長さんの右腕とも言われる斎藤さんは、雪かきの腕も人並み以上ね。」
というのも、斎藤と山崎が雪かきをした10台ほどの駐車スペースは真っ平にならされていて、子ども達が歩く道の横には、雪だるまや雪うさぎまで並んでいる。これをこの短時間で終わらせるとは…。
「ね、斎藤さん。この雪うさぎの作り方、今度子どもたちにも教えてくれません?」
「な、何故、そんなことを…。」
「だって…」
耳元で他の人に聞こえないような声で彼女は言った。
「次に貴方と会う理由が必要でしょ?」
「…っ!!」
「あはは。斎藤さん、耳まで真っ赤。」
「こ、これは…寒さゆえ!」
「わかったわかった。そうゆうことにしておいてあげるわ。」
「・・・。」
いつも完璧に仕事をこなす斎藤が、このように女性に翻弄されている姿を、目を見開いて無言で見つめる山崎なのでした。
6に続く。