続き物です。良かったら【愉快なハロウィン~1】 から読んでみてください♪
ちょっと山南さんが壊れ気味?!笑
薄桜鬼には出てこない女性が出てきます。艶がを知ってる人ならわかるかな~。
それでも大丈夫だよって方だけお進みくださいww
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(山南さん視点)
「さて。土方くんのお説教のせいで少し遅くなってしまいましたが、そろそろ巡回にでも行きましょうか。」
いつもの隊服の代わりに、先ほどの吸血鬼の衣装“まんと”というものを羽織りながら呟いた。もちろん、牙も付け忘れないように用意して…
予定にはない夜の巡回に私は向かった。その目的は、もちろん・・・
「とりっくおあとりーと!」
「…き、きゃぁ~~~!」
夜道を歩いている女性をおどかして回ること。
「ふふふふっ。ぞくぞくしますねぇ。」
いつもは抑えている羅刹の姿になって、口に付けた牙をのぞかせながら、私は妙な高揚感を覚えていた。
「…沖田君は良いことを教えてくれましたねぇ。これは癖になりそうです。」
「…!」
そんなことを考えながら歩いていた私は、向こうからやってくる女性を見て、はっと息を飲んだ。
「似ている…。」
私が唯一愛した女性…明里。彼女は郷里に帰したはず…だから京の町にいるはずがない。だが…。
月明かりでぼんやりとしか見えないが…背格好もよく似ている。私は物陰に隠れながら、その女性が通り過ぎるのを見つめていた。
「この格好なら…」
明里は私が切腹して死んだと思っている。もし、羅刹となって生きているなんてことが知られてしまったら…新選組の機密事項を漏らすことになり、明里の命を奪わなければならなくなる。そんなことはできない。
だが、この吸血鬼の恰好なら…今夜だけなら…。
「明里…?」
後ろから女性に声を掛けると、びくっとその肩が震え、ゆっくりとこちらを振り返った。
「…山南、さん?!」
あぁ。やはり。不覚にも涙がこぼれそうになる。
「…とりっくおあとりーと!」
だが、それを隠すかのように声を上げて、牙をむき出し、彼女に迫った。そして、その白い首元に…
「…っ。」
牙を…近づけて、その耳元でそっと囁いた。
「私は無念の死を遂げ、こんな姿になってしまった。はろうぃんの日だけ現れる吸血鬼という化物に…。」
「怖いか?」
「・・・いいえ。どんなお姿になっても、あなたはあなた。私が唯一愛したお方です。」
震えながらも明里は微笑みながらそう言ってくれた。まだ人として生きていた頃、気丈にいつでも明るく振る舞う彼女に私は安らぎを覚えていた。
「お菓子を頂けないのでしたら、このままあなたに悪戯をしても、許されますよね?」
「…何をなさるおつもりですか、きゅうけつきさん?」
ふふっと笑いながら明里が聞き返した。
「そうですねぇ…。」
本当は、このまま明里をどこかへさらってしまいたかった。愛しい明里の血を・・・飲み干したかった。
そんなことを考えてしまう私は、もう人間ではない。
人間としての女性の幸せを明里から奪うわけにはいかない…と、わずかばかり残っていた人間としての理性が私を止めた。
「…これだけ、頂いていきます。」
そっと人差し指で明里のぷっくりとした唇を撫で…その指を自分の唇に当てた。
「…っ!」
それから、明里の首に手刀を当て…
「さ…んな…ん・・・」
彼女を気絶させ、近くの宿屋の店先まで連れて行き、穏やかそうな店主にそこで倒れていたと、彼女を休ませて欲しいとお願いした。
これで、明日彼女が目を覚ましたら、今夜あったことは夢だと思うだろう。
「これで…いいんだ。」
私も一夜の夢を、もう二度と会えないだろうと思っていた女性(ひと)を会うという夢を、見ることが出来た。沖田君には・・・感謝しなければなりませんね。
~一夜の夢・終~