美咲の想い、まだ続きます~


********************************


そんな私の後姿を見て、何かを察したのか、原口くんが声を掛けてきた。




「…あいつはやめといた方がいいっすよ、美咲さん。」



「…どうして?」




「なんか、理由はよく知らないけど、“ちづる”って女に相当入れ込んでますから。」



「え、彼女いたの?」




彼女がいる男を合コンに誘ったのか…という疑いのまなざしで原口くんを見た。



「あ、いや。彼女ではないと思うんすけどね…ずっと探してるみたいで。」




「…!?」



「俺にもよくわからねぇんだ、その辺。」




あははと笑って、とりあえず残ったみんなでカラオケでも行きましょうやと原口君は誘ってくれた。見かけによらず、人の気持ちに敏(さと)くて気遣いのできるいい子だなと思ったけれど、カラオケという気分にはなれなかったので、



「私はいいや~このあとはみんなで楽しんできて。」




と、にこやかにお断りをしてみんなを見送ってから、家に帰った。



運命の人と出逢うなんて…なんて奇跡に近いことなんだろう…そんなことを思いながら。







25歳まで、あと3カ月―――



初雪の降ったあの夜から何日か経ったある夜のこと。




私はあれから毎日いつも通りに忙しい日々を過ごしていた。この日は、久しぶりに仕事を早く上がることが出来たので、私は仕事帰りに馴染みのマスターのいるバーに足を運んでいた。



からんからんと音を立ててドアを開けると、




「あれっ美咲ちゃん。久しぶり!いらっしゃい。」



マスターが満面の笑みで迎えてくれた。




「マスター、こんばんは。なんか今日は一人で飲みたくてね。」



その笑顔に仕事の疲れも吹き飛んで、私は少しおどけて「いつもの♪」と注文をしながらカウンターに座った。




そして、奥に座っていた男性の方に目を向けると…



「…あれ?」




そこには、あの夜からずっと会いたいと思っていた彼がいた。こんなところでまた会えるなんて…奇跡ってやっぱり起こるんだ~なんて舞い上がった私は、咄嗟にその彼に声を掛けていた。



「もしかして…土方くん?」




「…そうだけど?」



ただ、彼の方は私を覚えていなかった。少しがっかりして、




「あーぁ。やっぱり覚えててくれないか…」



と大げさにため息をつきながら言うと、




「…っと、すまない。」



なんて素直に謝ってくれるものだから、やっぱり可愛いなと思ってしまう。




「別にいいよー。…この前、合コンで…」



「あっ!あの時の…っと…」




そう言うと、思い出してくれた様子だったが、何か困っているようだ。



(そういえばあの日、自己紹介を全く聞いていなかったよね…その後も確か名前を呼ぶなんてこともなかったし…)




そんな様子を見ていると、自然と顔から笑みがこぼれてしまう。



「水沢美咲です!…今日は覚えてね。」




「あぁ。」



彼は少し気まずそうに俯いて、でも素直にそう返事をしてくれた。