すべてが終わっても俺は、自分の気持ちを自分の中で消化しきれずにいた。




相談できる人もいなかった俺は、一人でふらっと街に出た。そして目に留まった小さなバーに来て…穏やかそうなマスターに時々愚痴りながら、強い酒ばかりをあおった。



だいぶ酔いが回ってきた頃、からんからんとドアが鳴って…一人の女性客が入ってきた。




「あれっ美咲ちゃん。久しぶり!いらっしゃい。」



「マスター、こんばんは。なんか今日は一人で飲みたくてね。」




にこっと笑って彼女は「いつもの♪」と注文していた。



「ジントニックだよね。」




そう言ってマスターもさっさとカクテルを作っている。俺は、酔いの回った頭で、馴染みの客なのかと思い、ぼんやりとその彼女の顔を見て…



「…ん?」




どこかで見たことあるような…いや、まぁ俺には関係ないか、と顔をマスターに向けてもう何杯目かわからない酒を注文した。





「…あれ?」




するとその彼女が俺の方を向いて…ぱっと明るい顔を見せた。



「もしかして…土方くん?」




「…そうだけど?」



やっぱり知り合いだったのか…でもどこで?いつ声を掛けたやつだったか。




ちづる探しをしていた頃からだいぶ日も経つし、俺はなかなか思い出せないでいた。



「あーぁ。やっぱり覚えててくれないか…」




「…っと、すまない。」



「別にいいよー。…この前、合コンで…」




「あっ!あの時の…」



でも、名前は思い出せなかった。そもそもあの時、誰の自己紹介も聞いてなかった気がする。




そんな俺の姿を見て、彼女はくすくすと笑いながら、

「水沢美咲です!…今日は覚えてね。」



と話した。




「あぁ。」



俺は俯きながら返事をした。そのうちにマスターの作ってくれた酒が来て、なんだか流れで、二人で飲むことになった。




俺は酒の力もあり、水沢が聞き上手だったということもあり…



母親がいないこと。そのせいでずっと親父とうまくいっていないこと。姉と甥の総一郎のこと。




それから…



あの時、じいさんが死んで…未だに受け入れられていないことをすべて話していた。男の愚痴なんて聞いても面白くないだろうに…それでも、水沢は真剣に俺の話に耳を傾けてくれた。




その間もずっと飲み続けていて、そのうちに俺は…カウンターに突っ伏して寝てしまったらしい。



頭の上で水沢とマスターの話す声がかすかに聞こえた。




「マスター、悪いんだけど、タクシーを呼んでちょうだい?」



「この子、どうする?」




「ん~私が責任もって送り届けるわ。」



「そうか、悪いね。」




…それから、タクシーが来て、水沢に住所を聞かれた気がするが、ちゃんと答えられた自信がない。



こんなに酔っぱらったのは初めてだった。どんな飲みの席でも、誰がどんなに酔っぱらっていても、俺だけは理性を保って、そんな奴らの面倒を見てきた。






でも今日は…理性なんて保っていられなかった。










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気づいたら朝で…見知らぬ部屋のソファに寝ていた。




「ここは…?」



起き上がろうとすると、頭がずんっと痛んだ。体もだるい。これは…完全な二日酔いだろう。でも、あの店で酔いつぶれて…そのあとどうしたのか、まったく記憶がない。





向こうの方で、物音が聞こえる。誰か、いるのか?




・・・・・





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…土方くんの記憶のない間のお話。美咲の視点です。


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…土方くん視点に戻って、目覚めた後のお話。