「ふぅ。」
店の中に通され、席―もちろん一番抜けやすい手前の席で、ため息をついているところに、合コン相手の女が4人やってきた。
「あ、原口くん~久しぶり~♪」
「おぉ、梓。こっちだ!」
先に入ってきた女は原口の知り合いらしい。そのつながりってとこか。
俺は順番に入ってくる女たちの顔をじっと見た…。
(…いないか。)
期待はしていなかったが、やはりここにもちづるはいない。
「…おいっ!」
「…ん?」
ぼーっとしていて原口が呼んでいるのに気づかなかった。
「自己紹介、あとはお前だけだぜ?」
いつの間にか合コンが始まって他の奴は自己紹介も終わってしまったらしい。
「…土方、誠也。以上。」
「ってお前それだけかよ~。」
原口が苦笑いしているが、他に言うことなんてあるか?
「…まぁいいや!そんなわけで、俺たちの運命の出会いにかんぱ~い♪」
原口の言葉に女たちが笑って、俺が壊した空気がまた晴れやかなものに変わった。
俺は目の前にある食べ物をつまみながら、ビールを飲んでいた。そのグラスが空になりかけた頃…
「次、何にします?」
向かいの席にいた女…自己紹介を聞いてなかったから名前がわかんねぇ…が声を掛けてきた。4人の中で一番おとなしくて、まぁ俺とは違って話を振られればにこやかに返事はしていたみたいだが。
「あ、あぁ…じゃあ同じもので。」
というと、そいつは微笑んで、他の奴にも声を掛けてから店員に頼んでいた。
「…気、利くんだな。」
つい小さな声で言うと、
「んーん。うちのサークル、厳しくてさ。」
染みついちゃったと言って笑った顔は、お世辞にも美人ではないが、どこか人を引き付ける魅力みたいなものがあった。
「あ、ところで、土方…さんは、何で合コンに参加したんですか?」
「あー…向こうの原口って男に無理やり連れてこられたんだよ。」
「あはは。やっぱり。」
「そこで笑うか?」
「…だって私も同じだもん。梓に無理やり。」
なるほど。原口と梓って女は類友ってやつか。
「まぁ、新しいお酒も来たし、同じ境遇同士飲みましょ。」
俺の仏頂面なんて我関せずという感じで、その女はかんぱ~いなんて言って笑っていた。
ふぅん…こんなやつ、初めてだな。…まぁどうせ今日限りだろうしな。俺は、そいつと他愛もない話をしながら、久しぶりににぎやかな場で食事をした。