大学が冬休みになったある日。一稽古を終えて汗を流した俺は、着替えをして駅前に来ていた。と言うのも、いきなり電話で




「ちょっと土方ぁ。人助けだと思って今日一回だけ!」




大学で同じクラスになってから知り合った原口に半ば強引に誘われたのだ…合コンに。

…こいつのほうがよっぽど女をとっかえひっかえしてるよな。だがそのおかげで、女の交友関係が広いのは折り紙つきだったから、ちづるを探すときに尋ねてみたりした。




「お前のその生き別れの?女とやらを探すのに協力してやったじゃねぇか。」



そんなことを言われたら、さすがに断れない。




「ちっ…。」



合コンなんてめんどくせぇ。どうせ数合わせなんだから、適当に飲んだり食ったりして適当なところで抜ければいいか、と俺は考えて、原口との待ち合わせ場所に向かった。




「おぉ。来てくれたかぁ。ありがとよ~。」



「…来なかったらお前うるさいだろ。」




「ははっ。まぁな~。」



「…一次会で俺は抜けるからな。」




一応釘を刺しておくか…。



「わかってるよ。ただ…○○女子大の美人どころ集めたから、せっかくだし楽しんで行けよ。」




「興味はない。」



「ひょぅ。相変わらず“ちづる”一筋ってわけ?」




「…!」



こいつに悪気はないんだろうが…




「…帰る。」



「わぁ。もう言わねぇよ~。」




後生な~土方さまぁとか言って、大げさに謝るポーズを見せる原口を見て、俺は思わず笑ってしまった。



「…へぇ。」




「…なんだ?」



「鬼の土方の笑顔、初めて見たぜ。」




「…っ。」



くるっと踵を返そうとしたが、その腕をニヤニヤ顔の原口に掴まれる。




「まぁまぁ、そろそろ他の奴も来てるだろうし、行こうぜ。」



「…わかったから、放せって…!」




暑苦しく引っ付く原口を振り払いながら、俺たちは原口が予約したという店へ向かった。




店の前では、原口の高校時代の同級生だという永井とバイト先で知り合ったという藤本が待っていた。

永井は空手をやっているとかでガタイがいい。

藤本は背は小さいが顔はジャニーズ系ってとこか。

もちろん女が絶えない原口はどこかのテレビにでも出そうな顔立ちだし。



…こいつらだけでいいだろうが?と俺は心の中だけで呟いた。言ったところで、原口が帰してくれるわけねぇし。