「・・・ここだ。」
と土方さんが立ち止って、目の前がひらけた瞬間…
ドォンッ
一発目の大きな華が夜空に咲いた。
「うわぁ…きれい~…。」
色とりどりの華が次々と夜空を飾り、さっきまで泣きそうだった気分もどこかへ飛んで行ってしまったかのように、わたしは笑顔になった。
「…その顔が、」
「えっ?」
「お前の笑った顔が見たかった…。」
ずっと上を見ていたせいで気が付かなかったけど、土方さんはとっても優しい顔でわたしを見ていた。それから、ポンと優しい手が頭に乗せられ、わたしの顔の熱は一気に上がった。
「土方さ…ん」
「あいつが、さっきの女が、去年彼氏とこの花火大会に来たと…ここで花火を見るのが一番綺麗だと教えてくれたんだ。」
ほら、と土方さんが指差す先には、さっきの女の人と彼氏らしき人が仲良さそうに腕を組んで花火を見上げている姿があった。
「お前が、笑ってくれるかもと思ったら、嬉しくて…な。」
新八兄さんが見かけたあの日、そんな話をしていたと土方さんは教えてくれた。
「そっか…変に疑ってごめんなさい。」
「いや、最近全然かまってやれなくて悪かった。」
「うぅん。勉強だもの、仕方ないよ。」
わたしはこれ以上心配かけないように、笑ってそう言った。
「お前に花火大会に誘ってもらって、すごく嬉しかった。」
「うん…。」
「だから、今日くらいはお前に笑顔でいてほしいと思って…」
すっと視線を外した土方さんの顔は、暗くてよくわからないけれど、心なしか赤くなってる気がする。
それから、正面を向いた土方さんと目が合い、わたしの心臓はドキッと跳ね上がった。