約束の17時少し前。ピンポーンとインターホンが鳴った。




「…土方さんだっ。」



階段を駆け下りて、危なく転びそうになったけど、なんとか玄関まで無事にたどり着いた。




「はい…」



「・・・」




ジーンズにTシャツっていうラフな格好だったけど、それがまた土方さんを引き立てていて、カッコ良かったのは言うまでもない。



「…迎えに来た。」




笑顔で出迎えるわたしとは対照的に、土方さんはいつもにも増して仏頂面をしていた。



リビングの方から「おいー愛菜っ…」という声が聞こえて、新八兄さんに引き止められるのも面倒だったから、




「行こっ。」



土方さんと一緒にすぐ家を出た。




「・・・。」



「・・・。」




久しぶりに会ったせいなのか、お互いなんだか気まずくて、無言で歩いていた。
…土方さん、少し、痩せたかな?勉強、頑張ってるんだなぁ。と、黙って横顔を見つめながら歩いていると…



「あっ…。」




慣れない草履を履いているから、つまずいてしまった。土方さんが転びそうになったわたしを、すっと手を伸ばし支えてくれ、



「危なっかしいやつだな。」




フッと笑みを見せてくれた。



「だって~…。」




わたしは口をとがらせて拗ねるふりをしながら、今日初めての土方さんの笑顔を見て、ドキドキと胸が高鳴っていくのを感じた。



「…人が増えてきたな。行くぞ。」




そのまま自然にわたしたちは手を繋いで歩いた。



「よかったぁ…。」




「ん?」



「家を出てから何もしゃべってくれないから…わたし何か変なのかなって思って…。」




「あ、阿呆っ…その逆だ…」



「逆?」




「その格好、よく…似合ってる。」



「…!」




「…他の奴に見せるのは、しゃくだ。」



仏頂面だったのはそういうことか。




「えへへ。」



「何笑ってやがる?」




「…嬉しくて。ありがとう♪」



「…。」




土方さんは何も言わず照れたようにそっぽを向いて、握られた手に少しだけ力がこもった。わたしも、それに応えるようにギュッと手を握り返した。…浴衣、着てきてよかった。