花火大会前日。

なんだか落ち着かなくてわたしはリビングのソファーでそわそわしていた。




「あー明日だぁ♪楽しみだけど…何話せばいいのかなぁ。」




新八兄さんが“余計な話”をした翌日、たまたま学校へ来ていた土方さんと部活帰りに一緒になったが、いつも通り他愛もない会話をしただけだった。




他校の女の人ってどんな人かな…きれいで大人なんだろうな…




勝手にそんなことばかり考えてしまい、本人には気になるのに聞けない…そんな、もどかしい気持ちだった。




「…てか、明日何着て行こう!?」




あの女の人のことばかり気にしていて、大事なことを考えていなかった。久しぶりのデートらしいデートだし、どうしようかと考えようとして、ふと、“土方さんはやっぱり…格好いいだろうなぁ…”







・・・「お~い…、まーな?」







先月、学校外でデートした時の土方さんの姿を思い出してにやけているわたしの目の前に、朝出掛けたはずの左之兄さんが立って手を振っていた。




「あーぁ、しまりのねぇ顔してどうしたんだ?…って大方トシのことでも考えていたんだろ?」




ニヤりとからかうような笑いを見せる左之兄さん。




「も~からかわないでよ。今はそれどころじゃないんだからぁ!」




「こんにちは。愛菜ちゃん。」




するとそこへ、左之兄さんの後ろから、千華さんも顔を出した。




「あ、千華さん。いいところに~…。」




千華さんは左之兄さんの彼女さんでこうしてよく遊びに来るので、わたしも本当のお姉さんみたいに仲良くしてもらってる。

左之兄さんはモデルやってるから女の人には相当モテるし、遊んでるなんて話もあるけど、本気なのは千華さんだけだってわたしは知ってる。千華さんも、そんな左之兄さんの性格をよくわかっているし、明るくて言いたいことをズバズバ言える人だから…なんていうかお似合いなんだ。




「ん?どうしたの、愛菜ちゃん?」




「実は、明日土方さんと花火大会に行くんですけど、どんな服を着て行けばいいのかなって悩んじゃって…。」




「あぁ、なるほどね~。」




わたしの言葉に、千華さんはちらっと左之兄さんの方を見てから即答した。




「花火大会と言えば、もちろん浴衣に決まってるじゃない♪」




「え…!」




「ねぇ、左之。浴衣を着た女の子ってどう思う?」




「ん?あぁ…そうだな。…すごくいいな。」




珍しく左之兄さんが言いよどんだ。そんな左之兄さんを見て、千華さんは嬉しそうに笑って言った。




「男の人は浴衣とか好きだからね~、特に好きな子だったらもう…イチコロよ♪」




「そうだな~。きっとトシの奴、お前のこと惚れ直すぜ。…でも、なんだか面白くない気もするが。」




「でも!わたし、浴衣なんて持ってないし…。」




「大丈夫よ。私のを貸してあげる。…私は姉のを借りるつもりだったから。」




「…本当ですか?」




少し迷ったけれど、土方さんに浴衣姿を見てもらいたい。他の女の人じゃなくて、わたしを見てもらいたい。そう思い千華さんの好意に甘えることにした。