「こ、声が大きいよ…何のこと?」

「土方だよっ!もともといけすかねぇ奴だとは思っていたんだが…。」

「はぁ?なんなの?またそういう話?」

わたしが土方さんと付き合いだしてから、この長兄はことあるごとに、土方なんてやめて俺にしておけ、などというシスコン発言を繰り返していたから、またそんなところだと思った…んだけど。


「あいつ、昨日の夜、他校の女と歩いてたぞ。」


「…っ!」

「しかも、なんだか…すごくいい雰囲気でよ。何かを話しながら、あいつらにこにこと笑ってやがったんだっ!

…って愛菜、聞いてるか?」


雷が落ちたみたいに、目の前が真っ白になった。…土方さんが違う女の人と?わたしは土方さんに会えなくてこんなに会いたいって思ってるのに…?


・・・・ゴンッ。
「…っ痛ってぇ!何すんだよ、左之っ!」

再び新八兄さんの怒鳴り声で現実に引き戻される。そこには切なそうな眼をした左之兄さんが立っていた。

「お前が愛菜を混乱させてどうすんだよ。」

と言って、新八兄さんを部屋から追い払った。廊下では「おい、俺は愛菜のためを思ってだなぁ…」なんて、新八兄さんがまだ何かしゃべっている。


「愛菜…トシはそんなやつじゃねぇよ。」

「・・・。」

「何か理由がある。…信じてやってくれ。」

「…うん。」

いつになく真剣な顔で左之兄さんが言うから…わたしはもうそれ以上何も言えなかった。

というか、何も考えないことにした。

花火大会で会えれば、きっと…わかるから。


信じてるよ…土方さん…。