翌日。
俺は部屋にこもって、この神社の由来などの載った本や新選組に関する本などを読み漁り、考えていた。
試合中のあの風間の言葉…子どもの頃から見ていた夢…土方歳三の顔を見た時に浮かんだ感情…。


「俺は、俺のやるべきことは…。」

と、その時、

「おーい、誠也、いるか?」

「ん、じいさん?いるぜ。」

ドカドカと足音を立てて、勇吾じいさんがやってきた。

「もう体は大丈夫なのか?」

試合後に倒れたと、姉から連絡を受けた祖父は昨日駅まで迎えに来てくれていた。

「あぁ。何ともねぇ。心配かけちまってすまなかったな。」

「大丈夫ならいいんだが…無理はせん方がよいぞ。」

「あぁ、わかってるよ。で、何か用か?」

「おぉそうだった。実は、誠也に頼みがあってな。」

「何だよ、改まって?」

「実はな…少しの間、わしの代わりに神主をやってほしいのだよ。」

貧乏神社のうちは決してたくさんの人が来るわけではない。新選組ゆかりの神社も全国にはいくつもあるし、その中でもうちは小さい方だ。だが、それでも、新選組を目当てに訪れる観光客はゼロではない。また、秋にかけて境内の紅葉も巷じゃ結構有名だ。

「神主が不在になっては面目が立たないからなぁ…。」

「…何か、あったのか?」

嫌な予感がする。祖父の表情が暗い。いつもの明るさが見当たらない。

「少しの間でいいのだ。わしが…入院している間だけ。」

「…っ!」

そういえば、こないだ咳が止まらないとかで病院へ行っていたか。

「もっと詳しく検査をしてみないと、わからないらしいのだが…肺に、影があるらしい。」

「なぁに、すぐに死ぬと決まったわけではない。そんな顔をするな。」

俺は動揺を隠せなかった。ここまで健康体で病気知らずにいた祖父の…肺に…?

「お前が代わりに神主をやってくれていたら、安心して入院でも何でもすることが出来る。…頼む。」

「頭を上げてくれよ、じいさん…」