++++++++

また、いつもの夢か…ぼんやりとした頭で周りを見渡すと、二人の男が刀を交えている。一人は子どもの頃夢に出てきた格好をしている…―後から新選組であるとわかったのだが―副長と呼ばれていた奴。もう一人は…

『・・・っ、土方歳三!よくも、まがい物のお前が俺の顔に傷を…!』

…風間?!いや、白髪に金色の目…あれは鬼?

『この借りは必ずや果たしてやろう。』

風間は、消えた。
それから…土方歳三だって?俺は今初めて、新選組副長土方歳三の顔をはっきりと見た。

…するとなんだか、照れくさいような懐かしいような不思議な感覚を覚えた。…そうか。こいつは“おれ”なんだ。

その時、急に吹いた突風で土が舞い上がり、俺は思わず目をつぶった。


目を開けると、場所が変わっていた。目の前には大きな桜の木。そして、木の下には和服から洋服に変わったさっきの二人の姿があった。

『生きていたのだな、土方歳三。』

『な、なんで…?』

よく見ると“おれ”は負傷しているらしい。小柄な誰かに支えられてようやく立っている。そいつが“おれ”を庇うようにして風間を睨みつけている。

『全ての決着をつけに来ただけだ。俺の、真の鬼の誇りにかけてこの禍根を消し去る。』

『でも、土方さんは重傷を負っているんです!』

『千鶴、お前は黙って見ていろ。…全て投げ打って挑んでくる奴がいるなら【誠】の武士としては答えるべきだろう。』

「誠?うちの神社と同じ…っあ!」

思い出した。うちは新選組を奉ってる神社だった…興味ないから、忘れてた。

『でも…。』

『俺は俺が信じたもののために戦う。…生きるために必ず勝ってみせる。』

“おれ”は微笑んでいた。千鶴と呼ばれた女は、一瞬泣きそうな顔になったが、すぐに気丈に笑って見せた。

『わかりました。…土方さんを信じています。』

なんだか俺はすっかり魅入られていた。三人の持つ信念、思いの強さに…。

「…ちっ、俺だって。」

と、呟いたとき、さぁっと風が吹いて、桜の花びらが舞い上がり、皆の視界が桜色にくらんだ瞬間、刀を構える二人は同時に地を蹴っていた。

その様子を見ながら、俺は意識が遠のいていくのを感じた。土方歳三も千鶴も風間も、何のために生きているのかはっきりさせている…。

俺は…俺はいったい、何のために生きていくのだろうか…。