「・・・っ」

祖父の手紙をここまで一気に読み、その名前を目にした瞬間・・・
頭の中にたくさんの映像が流れ込んできた。

浅黄色の羽織を着た土方さん。
新選組の副長で鬼と恐れられていたけれど、訳あってそうしていただけで本当は誰よりも優しく皆のことを気遣っていた土方さん。
私のことも命を張って守ってくれた土方さん。

そうだった。やっぱり私は“わたし”だったんだ。
今日見たのは、私と土方さんの最期だったんだ。それから、前世の源じいちゃんの最期も。

つーッと私の目から一粒涙がこぼれた。

「思い出したよ、源おじいちゃん・・・。昔から、おじいちゃんも私を守ってくれていたんだね。」

手紙にはまだ続きがあった。私は涙を拭い、また手紙に目を落とした。


【・・・・
これを知ってどうするかは千鶴次第だよ。私としては、お前には『相原千鶴』としての人生を歩んでいってほしいと思っている。お前は『雪村千鶴』ではないのだから。…土方くんのことは忘れてもいい。

ただ、これだけは最後に言っておきたい。私は、前世でも現在でも千鶴と出会えて良かった。
私は千鶴からたくさんのかけがえのないものをもらった。幸せな思い出という名の。
だから、私がいなくなっても私の為にあまり泣かないでおくれ。私は千鶴の笑った顔が大好きだ。それを一番近くで見続けられた私は、なんという幸せ者だったのだろう。
千鶴、私はいつでもお前を見守っているよ。ありがとう。

相原源三郎】

祖父からの心のこもった手紙を抱きしめて、私はまた涙を流していた。

「源じいちゃん、これは嬉し涙だから…ちょっとだけ許してね。」

祖父の想いとその言葉が嬉しい。
大切なものを思い出すことが出来たのは、もっと嬉しい。

祖父は忘れてもいいと言っているけれど、私はもうすでに…前世なんて関係なく、あの人に出逢ってしまった。

「・・・土方さん。」

声に出して名前を読んでみる。初めて呼ぶ名前なのに、なんてしっくりくるのだろうか。
穏やかな気持ちになり、ふっと安らかな眠りが近づいてきた・・・

・・・明日、また誠神社に行ってみよう・・今日のお礼をして・・・何で名乗っていないのに私の名前を知っていたのか聞いてみよぅ・・・


~前世の記憶はなくても、きっと、魂は覚えている

あの人とまた出逢えたのは、きっと、魂の記憶のおかげ~



   ☆千鶴side終わり☆