それから…祖母の話を聞いた後、私は一人になりたくて、近くの神社の境内に座り、風に揺れ、はらはらと散る桜を眺めていた。
「源じいちゃん・・・。そういえばこの神社、誠神社だっけ。」
自然と足が向いたのはそのためかもしれない。
・・・私の名前は祖父が付けてくれた。
まだ私が幼かった頃、祖父に尋ねたことがある。
「ねぇ、げんじいちゃん、ちづるはなんで千鶴ってゆうの?」
祖父の膝の上に乗り、話をすることが私は大好きだった。
「きのう、ママにきいたらね。おじいちゃんがつけてくれたのよって。ねぇ、なんでー?」
祖父はいつのもあの優しい笑顔で答えてくれたっけ。
「私の大切だった人の名前をもらったのだよ。…“私達の”と言った方が正しいかな。」
膝の上で幼い私は首をかしげた。
「雪村千鶴…さんはね、あの動乱の中私達と共に戦ってくれた、芯の強い優しい女性だったのだよ。私達は、新選組の皆は、本物の武士だった・・・彼女もまた。」
「ぶしー?しんせんぐみー?」
「…私はこうして、平和な時代に生まれ変わることができた。」
祖父はどこか遠くを見るような、懐かしそうな顔をした。
「女の子が生まれたら、そんな彼女の名前を付けたいと思っていた。まっすぐで心優しい子になるように。・・・千鶴は“千鶴”という名前がいやかい?」
祖父の言っていることは半分くらいわからなかったけれど、とても温かく優しい目をしていたから、
「じゃぁ、ちづるっていーひとのなまえなんだねっ。げんじいちゃんがつけてくれたなまえだから、ちづる、すきだよ。」
と笑って答えると、祖父も嬉しそうにして、大きな手で頭を撫でてくれたっけ。
大好きだった祖父の手、優しい笑顔を思い出し、思わず嗚咽がこぼれる。
「・・・っ。げんっ・・・じいちゃ・・ん。」
もっと色んな話を聞きたかったのに・・・
もっともっと私のことを見ていてほしかったのに・・・
たくさん可愛がってもらったのに、何にもしてあげられなかった・・・
周りには誰もいないから、人の目を気にすることなく、私は声をあげて泣いた。
拭っても、拭っても、その涙は溢れて…初めて着た喪服のスカートにはたくさんのシミが付いた。
・・・・・・・・
その時。
ふっと生温かい風が吹いたかと思うと・・・
目の前の桜の木に雷が落ちた、ような轟音と眩しい光が・・・
そこで、私の意識は途切れた。
+++++++
「源じいちゃん・・・。そういえばこの神社、誠神社だっけ。」
自然と足が向いたのはそのためかもしれない。
・・・私の名前は祖父が付けてくれた。
まだ私が幼かった頃、祖父に尋ねたことがある。
「ねぇ、げんじいちゃん、ちづるはなんで千鶴ってゆうの?」
祖父の膝の上に乗り、話をすることが私は大好きだった。
「きのう、ママにきいたらね。おじいちゃんがつけてくれたのよって。ねぇ、なんでー?」
祖父はいつのもあの優しい笑顔で答えてくれたっけ。
「私の大切だった人の名前をもらったのだよ。…“私達の”と言った方が正しいかな。」
膝の上で幼い私は首をかしげた。
「雪村千鶴…さんはね、あの動乱の中私達と共に戦ってくれた、芯の強い優しい女性だったのだよ。私達は、新選組の皆は、本物の武士だった・・・彼女もまた。」
「ぶしー?しんせんぐみー?」
「…私はこうして、平和な時代に生まれ変わることができた。」
祖父はどこか遠くを見るような、懐かしそうな顔をした。
「女の子が生まれたら、そんな彼女の名前を付けたいと思っていた。まっすぐで心優しい子になるように。・・・千鶴は“千鶴”という名前がいやかい?」
祖父の言っていることは半分くらいわからなかったけれど、とても温かく優しい目をしていたから、
「じゃぁ、ちづるっていーひとのなまえなんだねっ。げんじいちゃんがつけてくれたなまえだから、ちづる、すきだよ。」
と笑って答えると、祖父も嬉しそうにして、大きな手で頭を撫でてくれたっけ。
大好きだった祖父の手、優しい笑顔を思い出し、思わず嗚咽がこぼれる。
「・・・っ。げんっ・・・じいちゃ・・ん。」
もっと色んな話を聞きたかったのに・・・
もっともっと私のことを見ていてほしかったのに・・・
たくさん可愛がってもらったのに、何にもしてあげられなかった・・・
周りには誰もいないから、人の目を気にすることなく、私は声をあげて泣いた。
拭っても、拭っても、その涙は溢れて…初めて着た喪服のスカートにはたくさんのシミが付いた。
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その時。
ふっと生温かい風が吹いたかと思うと・・・
目の前の桜の木に雷が落ちた、ような轟音と眩しい光が・・・
そこで、私の意識は途切れた。
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