急死した父からメールを受け取った研人。

そこには「アイスキャンディで汚した本を開け」という謎のメッセージが。

研究者であった父から、大学院で創薬科学を学ぶ研人への指示は、とある病気の特効薬を完成させることだった。


同時にホワイトハウスでは最高機密のミッションが進んでいた。

イエーガーは難病患者の息子の治療費のため、ミッションのリーダーとしてコンゴへ向かう。

そこで出会った「人物」とは。


ホワイトハウスでの描写から始まり、アメリカ・日本・コンゴと変わっていく視点に引き込まれる。

ハードカバーで590ページあるので読み応えも十分。


・・・しかし。


私は極端に右でも左でもないつもりだが、作中で扱われる「日本人」の描写がとても不快だった。

物語に必要な描写だとも思えなかった。

途中読むのを止めようかとも思ったけれど、もしかしたら重要な複線かもしれないと読みきった。


そこさえなければ「壮大な物語」で楽しめたかも。


今までここで書いてきた「感想文」は、なんとなく好意的なものだけだった。

けどなぁ。

これはなぁ。

一生懸命読んでこれはなぁ。

というわけで覚え書き(笑)。


高野和明のほかの著書は好きです。

「6時間後に君は死ぬ」とか、「十三階段」とか、ハートフルな作風。

この作品が初めての高野作品で、他を読まない選択をするのはもったいないです。


作家として書くのは「主張したいことがある」からなんだろう。

それが作品に出るのは当たり前だよね。


ダ・ヴィンチは偉いなぁ。

どんなジャンルの本でもマンガでもきちんと紹介して・・・。

考えが完全ニュートラルじゃないとできないのねって実感しました。


しかし私は読書をやめない(笑)!


写真館ではなく「写眞館」である。


「元」小暮写眞館であった一軒家を写眞館であるままに買い取り、住居とした花菱家。

俗にいうシャッター商店街の中にあるこの建物を、ウィンドウも看板もそのままに住み始める。


商店街では小暮写眞館の主人の幽霊が現れるとうわさのその家。


「花菱という苗字なのだから家族みんなそうじゃないか」

と思いつつ「花ちゃん」と父母弟に呼ばれる長男英一。

もちろん高校でもあだ名は「花ちゃん」だ。


ちょっと変わり者の父。

それに寄り添う母。


弟の「ピカ」ちゃんは「光」くん。

文字通り一家の光であり、まわりの人々を照らす灯台のような子である。


宮部作品らしく、登場人物ひとりひとりのキャラクダーがしっかりと立っている。


甘味処の娘である「コゲパン」。

お金持ち一家の息子「テンコ」。

小暮写眞館の売買に携わった不動産屋の面々も、鮮やかに物語に登場する。


宮部作品でこういう空気のものは久しぶりだったのではないか。

パーフェクトブルーのような、ステップ・ファザー・ステップのような。


暖かなゆったりした日常に流れる「人間」の物語。


しかし宮部みゆきという人は、書かれた作品の「時代」をきっちりと詰めている。

登場人物たちが使う「流行り言葉」しかり。

スマホのマナーしかり。

言葉遣いの中には「おお、最近の子はこんな使い方をするのか」と感心したものもあった。

きっと普段から作品のためにアンテナを張り巡らせ、メモなどとっているのだろう。


切ない読後感ではあるけれど、登場人物それぞれの「未来」が明るいことを祈る。

祈りたくなるほど登場人物をリアルに感じさせてくれたことに感謝する作品です。