
「死が二人を分かつまで」
喪失感に立ち向かう
泣くことは弱さのしるしであり,有害であると言う人さえいますが,自身も夫を亡くしている心理学者のジョイス・ブラザーズ博士によれば,涙は感情をいやす応急手当てのようなものです。実際,悲嘆を経験したときに泣くのは自然なことであり,痛みを和らげるのに役立ちます。涙を流すことを恥ずかしく思わないでください。この点で参考になる例が,聖書の中にあります。アブラハムは際立った信仰を持つ人で,神の友と呼ばれるほどでした。しかし,最愛の妻が亡くなったとき,「そばに来てサラの死を嘆き,泣いて悲しんだ」のです。―創世記 23:2。
しばらく独りになりたいと思うのは正常なことですが,人との接触を断たないでください。箴言 18章1節は,「自分を孤立させる者は利己的な願望を追い求める」と警告しています。ですから,気持ちを分かってくれる親族や友人に支えてもらうようにしましょう。この面でクリスチャン会衆は大きな助けになります。霊的に円熟した男子から,必要な援助やアドバイスを得られるからです。―イザヤ 32:1,2。
慰めの手紙やカードに返事を書くことによって気持ちを落ち着かせることができた人もいます。そういう機会に,配偶者の良い点や二人で過ごした思い出などを書き記すとよいでしょう。写真や手紙などを収めた記念のアルバムを作ることも,悲しみをいやすのに役立つかもしれません。
配偶者を亡くして間もない場合,途方に暮れてしまうのも無理はありませんが,それまでの習慣や予定に付き従うのはよいことです。例えば,就寝や起床の時間,また食事の時間や家事をする時間が決まっていたなら,それを守るようにしましょう。週末や,結婚記念日などの特別な日は寂しくてたまらなくなることが多いので,何を行なうか前もって計画しておくとよいでしょう。とりわけ霊的な日課を守ることは大切です。―コリント第一 15:58。
大きな感情的ストレスを抱えている時には,判断力が鈍りがちです。よくない動機を持つ人が,その状況に付け込もうとすることさえあるかもしれません。ですから,家の売却,多額の投資,引っ越し,再婚などに関して,性急な決定を下さないようにしましょう。「勤勉な者の計画は必ず益をもたらし,性急な者はみな必ず窮乏に向かう」という格言があります。(箴言 21:5)もっと気持ちが落ち着くまで,生活に大きな変化をもたらすような決定は見合わせるべきです。
配偶者の遺品を整理するのはつらいものです。長年連れ添っていればなおのことそうですが,悲しみに対処する上で避けては通れません。先延ばしにすると,それだけ苦痛を長引かせてしまうことになりかねません。(詩編 6:6)一人で整理したいと思う人もいれば,親しい人と思い出を語り合いながら行ないたいと思う人もいます。また,死亡証明書の取得,行政機関への届け出,銀行やクレジットカード会社への連絡,不動産の名義変更,死亡保険金の受け取り,医療費の支払いなどの各種手続きは,友人や親族に手伝ってもらうとよいかもしれません。
不道徳な世の中で生活していることを忘れないでください。一人になった今,道徳的な清さを保とうとする決意が試みられるかもしれません。使徒パウロの次の言葉は,今日でも時宜にかなっています。『あなた方一人一人は,自分の器をいかに聖化と誉れのうちに所有すべきかを知るべきであり,神を知らない諸国民のように貪欲な性欲のままに歩んではなりません』。(テサロニケ第一 4:4,5)ですから,恋愛やセックスを題材とした映画や本や音楽を避けるのは賢明なことです。
何よりも,立ち直るには時間がかかるということを理解しておきましょう。ミシガン大学社会調査研究所の研究によれば,配偶者を亡くした人が身体的および精神的に回復し始めるまでに少なくとも1年半かかると,USAトゥデー誌は伝えています。忍耐できるよう,神に祈ってください。忍耐力は,神の霊の実によって強められます。(ガラテア 5:22,23)今は立ち直れそうにないと思えても,時の経過と共に少しずつ元気が出てくるでしょう。
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