代替療法に目を向ける

ハーブ療法
この療法は恐らく最も一般的な代替医療でしょう。医療にハーブを利用することは何世紀も前から行なわれていましたが,科学者が注意深く研究してきた植物の種類は比較的少数にすぎません。徹底的に研究され,安全性や効能に関する情報が得られる植物やその抽出物となると,さらに限られます。ハーブに関する情報の大半は,それが過去どのように使われてきたかに基づいています。
しかし近年,多くの科学的研究が行なわれ,ある種のハーブが,軽いうつ病や老化による記憶喪失,良性の前立腺肥大といった症状の治療に役立つことが明らかになりました。研究されてきたハーブの一つは,ブラック・コホッシュです。これは,カロライナショウマ,サラシナショウマ,あるいはフクオウソウと呼ばれることもあります。アメリカ・インディアンは,このハーブの根をゆでて,月経障害や出産に関連して用いました。「ハーバード・ウィメンズ・ヘルス・ウォッチ」誌(英語),2000年4月号によると,最近の研究で,ドイツの規格化された市販のブラック・コホッシュの抽出物には「更年期の症状を軽減する」効果があるかもしれない,という点が示唆されました。
そのような天然の治療薬に対する需要の多くは,人工的な薬より安全だという考えに基づいているようです。確かに安全な場合も多いでしょうが,とりわけ他の医薬品と組み合わせたときに,副作用を生じさせるハーブもあります。例えば,充血を緩和し,体重を減らす自然物として奨励されているある人気の高いハーブは,血圧や心拍数を上げることがあります。
患者の出血を促進するハーブもあります。そのようなハーブと“血液を薄める”医薬品を組み合わせて使うと,深刻な問題が生じ得ます。糖尿病や高血圧といった持病のある人,あるいは他の薬を飲んでいる人は,ハーブ療法について特に注意する必要があります。―囲み記事をご覧ください。
ハーブ療法でもう一つ心配なのは,製品の品質が常に保証されているとは限らないことです。近年,それらの製品が重金属などの汚染物質によって汚されていたという報告が聞かれます。さらに,ハーブ製品の中には,ラベルに書かれた成分がほとんど,あるいは全く含まれていないものもあります。これらの例は,ハーブ製品も他のどんな薬も,評判の良い信頼できる所から買う必要があることを物語っています。