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生体化学上の欠陥に対処する

生体化学の見地からうつ病を治療するため,科学者たちは,ある種の“抗抑うつ剤”を開発しました。これらは習慣性のある鎮静剤ではありません。極めてまれな例を除けば,抗抑うつ剤を使っても,悪い結果を招くことなしに,その使用を中断し,そしてまた再開することができます。

この特殊な薬剤は,うつ病の治療にどのように役立つのでしょうか。科学者たちは,“必須アミン”と呼ばれる化学物質が脳の中の気分をつかさどる部分に集中していることに注目してきました。ネーサン・クライン博士は,「ある種の“必須アミン”が,うつ病患者の体内では十分に生産されなかったり,早く破壊されすぎたりすることを示すかなりの証拠がある」と説明しています。そう快な気分を保つのに必要と思われるアミンの分解を遅らせるために,“モンアミン酸化酵素反応抑制剤”(略称MAOI)と呼ばれる薬品が開発されました。炭酸リチウムという薬品は,そううつ病患者の感情の上がり下がりを少なくするのにかなりの効果があります。

抗抑うつ剤の利点について,クライン博士は次のように書いています。「広範にわたる精神療法が症状を和らげることに役立たないことが明らかになった場合,確かに,抗抑うつ剤を使ってみるだけの十分な理由がある。最近では,まず最初に薬剤を投与してみるべきであるという考え方が強くなっている。多くの場合,必要とされる治療はそれだけであることが分かった。薬剤の投与を精神療法と併用して良い結果の見られる場合が少なくない。結局のところ,うつ病患者にとって,加強法による精神療法が最も適しているとは言えない」。