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戦後最大の疑獄事件といえば、やはりロッキード事件になるだろうか。航空機の売り込みで巨額のわいろが動き、田中角栄元首相の逮捕に至ったこの事件は、30年前の1976年2月4日にアメリカの議会で発覚した。

 その日は確か、東京本社の社会部で宿直勤務に着いていた。原稿は最終版ぎりぎりに、ワシントンの記者から外報部へと送られてきた。「ロッキード社 丸紅・児玉氏へ資金」。記事は26行と短いが、見出しは大きく5段抜きだった。

 政治、経済、社会、外報の各部総掛かりでとりかかる、まれな事件となった。社会部では一番若手だったので、児玉誉士夫邸の前で人の出入りを取材する「児玉番」の日もあった。

 7月27日の朝、自宅に本社から電話が来た。「田中逮捕だ。拘置所へ行ってくれ」。すぐタクシーで向かう。着いた時は、元首相を乗せた車が塀の内側に入った後だった。車内の元首相を見た本社写真部員からその様子を聞いて、原稿を送った。

「今太閤」などと言われて、首相にまで上り詰めてから4年後の逮捕だった。この後も様々な事件を現場で取材したり、周辺で見たりしてきたが、これほど深刻な権力犯罪には出合っていない。

 戦後の約60年を顧みると、ロッキード事件はその真ん中あたりで起きている。事件を挟んで前と後が30年ずつある。「ロ事件後」の30年で日本の腐敗や癒着の構造はどう変わってきたのか。表向きはともかく、闇の構造そのものが消えたとはとても言えないだろう。ロ事件が繰り返されないという保証はない。

いつの世も、欲しいものは
お金、名誉、権力ですか?
舞は健康が欲しい。