
「精神分裂病会報」は,また別のなぞを提出しています。「提出された証拠は,精神分裂病患者の脳に異常がある場合の多いことを示唆している」のです。
アーノルド・シャイベル博士の意見によれば,正常な患者の場合,脳の一部である海馬と呼ばれる領域には神経細胞が「あたかも小さな兵士のように」一直線に並んでいます。ところが,ある精神分裂病患者の脳を見ると,「神経細胞とその並び方がひどくゆがんで」います。これが精神分裂病患者の幻覚と妄想の原因ではないか,と同博士は考えているのです。脳の空洞の広がっているのが発見された精神分裂病患者もいます。とりわけ興味をそそられるのは,精神的な病気を抱えている人の脳には生化学的な欠陥のある場合があるという発見でした。(次の記事をご覧ください。)
しかし,これまで,脳の中の一つの異常や生化学的な欠陥が一様にどの精神分裂病患者からも発見されたというわけではありません。そのために医師たちは,精神分裂病とは「数々の異なった原因によって引き起こされた,多くの障害」のことであろう,と考えています。(「精神分裂病:解決策はあるか」)潜伏期の長い病気のウイルス,ビタミンの不足,新陳代謝の障害,食物アレルギー―これらはみな精神分裂病に関連があるとされている要因のほんの数例にすぎません。
しかし,この病気の真の原因と仕組みが医学の手に負えないものではあっても,E・フラ・トリ博士は,「精神分裂病は脳の疾患であり,現在ではそのようなものとして明確に認められている。糖尿病,多発性硬化症,ガンなどが疑問の余地なく本質的に科学的かつ生物学的なものであるのと同じく,精神分裂病もまさしく本質的に科学的かつ生物学的なものである」と述べています。うつ病も同じように生物学と関連しているということを示す証拠もあります。
このように,精神病のなぞめいた雰囲気と汚名は過去のものとなりました。この病気はまぎれもなく現実に治療できるようになりました。
機能的ではなく、器質的質感なのに、
どうにもならないのかしら?
わたしたちには、何ができて、
何ができないんだろう?
病識があるということは、
予防にもなるし、
罹患してからも、
平衡の取れた見方をするのに、役立ちますね。
[脚注]
「うつ病と闘うことは可能です!」という主題の「目ざめよ!」誌1981年12月8日号をご覧ください。
スウェーデン,ノルウェー,アイルランド西部,ユーゴスラビア北部,発展途上国の大部分では精神分裂病の罹病率が高くなっています。
[5ページの図版]
精神病に冒されることには,幾つかの要素が関係しているかもしれない
遺伝子?
環境?
脳の異常?
化学的な欠陥?
食事?