
わたしたちの創造者エホバ神は,人間の不完全さを十分理解しておられます。神はイスラエル人をエジプトから導き出す際,モーセをご自分の代弁者として任命しました。神はモーセが言語の障害をかかえていたため意思を伝えるのが困難だったことを十分承知の上でそうされたのです。神はモーセの兄のアロンが対照的に流暢な話し手であることもご存じでした。神は,「彼がよく話すことのできる者であることを知っている」と言われました。(出エジプト記 4:14)しかしモーセには忠節,親切,信仰,温和な気質といった,はるかに重要なほかの特質がありました。(民数記 12:3。ヘブライ 11:24,25)モーセが反対したにもかかわらず,神はご自分の民の指導者としてモーセを選んだご自身の決定を変えたりはされませんでした。同時に,神はアロンをモーセの代弁者として任命することにより,モーセの不安な気持ちに配慮されました。―出エジプト記 4:10‐17。
出エジプト記4章14節
14 するとエホバの怒りはモーセに対して燃えた。しかし,こう言われた。「レビ人アロンはあなたの兄弟ではないか。わたしは,彼がよく話すことのできる者であることを知っている。しかも,彼はいまあなたに会おうとして出かけて来ている。本当にあなたを見たなら,その心はまさに歓ぶことであろう。
民数記12章3節
3 ところで,モーセは地の表にいるすべての人の中でとりわけ柔和な人物であった。
ヘブライ11章24.25節
24 信仰によって,モーセは,成人した時,ファラオの娘の子と呼ばれることを拒み,25 罪の一時的な楽しみを持つよりは,むしろ神の民と共に虐待されることを選びました。
出エジプト記4章10~17節
10 その時モーセはエホバに言った,「お許しください,エホバよ,私は流ちょうに話せる者ではございません。それは昨日からでも,その前からでも,あなたがこの僕に話されてからのことでもありません。私は口が重く,舌の重い者なのです」。11 するとエホバは言われた,「だれが人のために口を設けたのか。だれが口のきけない者や耳の聞こえない者を,視力のさえた者や盲目の者を設けるのか。それはわたし,エホバではないか。12 だから今,出かけて行きなさい。わたしがあなたの口にあって,どう言うべきかを教えよう」。13 しかし彼は言った,「お許しください,エホバ,どうか,あなたが遣わそうとしておられる者の手によってお遣わしになりますように」。14 するとエホバの怒りはモーセに対して燃えた。しかし,こう言われた。「レビ人アロンはあなたの兄弟ではないか。わたしは,彼がよく話すことのできる者であることを知っている。しかも,彼はいまあなたに会おうとして出かけて来ている。本当にあなたを見たなら,その心はまさに歓ぶことであろう。15 そしてあなたは彼に話して,言葉をその口に置くのである。わたしがあなたの口,また彼の口にあって,あなた方の行なうべきことを教える。16 それで彼があなたに代わって民に話すことになる。彼があなたに対して口となり,あなたは彼に対して神の役をするのである。17 そして,この杖をあなたの手に取り,それをもってしるしを行なうように」
わたしたちも理解を示すことによって神に見倣うことができます。どもる人を尊厳をもって扱い,言語障害のためにその人の真価を見損なわないようにしてください。このことを示す例として,ある幼い娘とどもる父親の経験があります。その父親は以前より流暢に朗読する方法を習いました。ある夜,父親は6歳の娘にある物語を読んで聞かせ,習ったことを娘の前で試して,流暢に読めたことを誇らしく思いました。
父親が読み終えたところ,娘は,「パパ,ちゃんと話して」と言いました。
父親は憤慨して,「こんなにちゃんと話しているじゃないか」と答えました。
娘は,「そうじゃなくて,いつものように話して」とせがみました。
そうです,この幼い娘は,言語障害があってもそれまで通りの父親を愛していたのです。ですから,次にだれかどもる人と接する場合,その人が持っているかもしれない貴重な考えや望ましい特質を思い起こしてください。その人は確かに様々な感情を持っています。辛抱強く接し,理解を示してください。
流暢に話すものは、
それだけ言葉数も多く、
間違いも多いよね。
舌を制御できたなら、
体全対を制することができると
聖書にも書いてある。
また、一つの言葉で、
森林全体を燃え上がらせることもできるとも書いてある。
それぞれ、賜物が違うのだから、
自分の長所を伸ばし、
人の短所には、片目つぶりたいですね。
って、さっき彼とけんかしたばかりじゃないかーーー
というわけで、誰も完全な人はいないんだよね。
自分と折り合いつけていかなきゃ。
[脚注]
この記事の名前は一部変えてあります。
大人より子供のほうが治る見通しはよく,経験を積んだ言語療法士のアン・アーウィンは自著「幼児の調音障害」の中で,「調音障害児4人のうち3人は大きくなって自然に治るものである。もしお子さんが調音障害が自然に治らない25%のうちの一人であるとしても,予防療法を行なえば,大きくなって治る可能性はたいへん高い」と説明しています。
[25ページの図版]
どもる人は公の場ではなかなか話せない
[26ページの図版]
どもる人がうまく話せなくて困っている場合,辛抱強くありなさい
[27ページの図版]
普通,どもる人は電話を恐れる