
人間が種々の圧力や心配事から解放されて休息を得る必要のあることを理解しておられる神は,昔のイスラエル国民に7年ごとに安息の年を持てるよう取り計らわれました。このような休息の取決めを享受した国民はほかにはありません。そのような取決めはどんな益をもたらしましたか。それは今日わたしたちが見ている事がらとどのように比べられるでしょうか。
イスラエル人が定められた安息の年を守ったとき,周囲の敵は彼らを悩ましませんでした。また,土地も恩恵に浴しました。なぜなら,安息の年には耕作が行なわれなかったので,土地は地力を回復することができました。安息の年の時期に人に雇われていない貧しい人びとがいても,そのような人々はだれも苦しみませんでした。というのは,自然に畑になる穀物や野菜や果物をすべて自由に,存分に取って食べることが許されていたからです。
普通6年間ずっと働き続けた土地所有者は,今や家族のために用い得る余分の時間を持つことになりました。というのは,当時の農業社会ではそのような土地所有者は自分の仕事から相当解放されたからです。そして,霊的な事がらや子供を教えたり訓練したりする仕事また家庭生活の改善を図ることなどにいっそうの注意を払うことができ,そうすることによって,愛のきずなを強め,今日多くの家庭をむしばんでいる分裂や非行を防止することができました。また,そうした土地所有者は経済上の心配事からの圧力を受けて苦しむということもありませんでした。安息の年には債権者は貸金の返済を迫ることはできなかったからです。―レビ 25:2‐7。申命 15:1‐3。
レビ記25章2~7節
2 「イスラエルの子らに話しなさい。彼らにこう言うように。『あなた方がわたしの与える土地についに入ったなら,その時,その地はエホバに対して安息を守らねばならない。3 六年の間あなたは自分の畑に種をまき,六年の間自分のぶどう園の刈り込みを行なうべきである。こうしてあなたはその地の産物を取り集めるのである。4 しかし,七年目には,その地のために全き休みの安息,エホバに対する安息が設けられるべきである。あなたの畑に種をまいてはならない。あなたのぶどう園の刈り込みを行なってはならない。5 あなたの収穫のこぼれ種から生えたものを刈り取ってはならず,刈り込みをしなかった木のぶどうを取り集めてもならない。その地のために全き休みの年が設けられるべきである。6 そして,土地の安息はあなた方にとって食物のためとなるのである。すなわち,あなたと,あなたの男奴隷や女奴隷,あなたのもとにいる雇われた労働者や移住者,外国人としてあなたのもとに住む者たちのため,7 またあなたの家畜のため,あなたの地にいる野獣のためである。その産出するものはすべて食用としてよい。
申命記15章1~3節
15 「七年の終わりごとにあなたは免除を与えるべきである。2 そして,これがその免除の仕方である。すなわち,すべての債権者により,その者が自分の仲間に負わせた債務の免除が行なわれる。その者は自分の仲間や兄弟に支払いを迫るべきではない。エホバに対する免除が告げられるのである。3 異国の者に対しては支払いを迫ることもできる。しかし,あなたのものであるいかなるものが兄弟のもとにあるとしても,あなたの手はこれを免除するように。
加えて,50年目は「ヨベル」の年でした。それはなおいっそう徹底した休息の年,つまり『自由の年』でした。ヨベルに関する規定は,7年目の安息のそれと同様でしたが,さらに広範囲に及ぶものでした。今日の諸国家もその気になればヨベルに関する律法から多くを学べるでしょう。
ヨベルの年の始めには負債はすべて取り消されました。相続財産としての所有地を売った人はすべて,その土地に戻りました。その土地は無償で当人に返還されたのです。負債を償うために雇用労働者として身売りをした人は,この『自由の年』の初日にはそうした苦役から永久に解放されました。―レビ 25:8‐22。
レビ記25章8~22節
8 「『また,あなたは自分のために安息の年を七つ数えるように。七年の七倍である。年の安息七つの日数はあなたにとって四十九年となる。9 それからあなたは,第七の月,その月の十日に,高音の角笛を鳴り響かせるように。贖罪の日にあなた方の全土に角笛を鳴り響かせるべきである。10 こうしてあなた方は五十年目を神聖なものとし,その地においてそのすべての住民に自由をふれ告げなければならない。それはあなた方にとってヨベルとなる。あなた方は各々自分の所有地に帰るように。各々自分の家族のもとに帰る。11 その五十年目はあなた方にとって,ヨベルとなるのである。あなた方は種をまいてはならない。こぼれ種からその地に生えたものを刈り取ってはならない。刈り込みをしなかった木のぶどうを取り集めてもならない。12 それはヨベルだからである。それはあなた方にとって聖なるものとされるべきである。あなた方はその地の産出するものを,畑から食べてよい。
13 「『このヨベルの年にあなた方は各々自分の所有地に帰るべきである。14 それで,あなた方が売り物を自分の仲間に売ったり仲間の手から買ったりする場合,互いに不正を行なってはいけない。15 あなたはヨベル以後の年数にしたがって自分の仲間から買うべきである。収穫の年数にしたがって彼はあなたに売るべきである。16 年数が多ければその買い取りの価を増すべきであり,年数が少なければ買い取りの価を減らすべきである。収穫の数を彼はあなたに売るからである。17 ゆえに,あなた方はだれも自分の仲間に不正を行なってはならない。あなたの神に恐れを持たねばならない。わたしはあなた方の神エホバなのである。18 こうしてあなた方はわたしの法令を実行し,わたしの司法上の定めを守ってそれを遂行しなければならない。そうすればあなた方は必ずその地に安らかに住まうことになるであろう。19 そして,その地はまさにその実りを出し,あなた方は必ず満ち足りるまで食べて,そこに安らかに住まうであろう。
20 「『しかし,もしあなた方が,「種をまいたり収穫物を取り集めたりしてはいけないならその七年目には何を食べるのか」と言うのであれば,21 そのときわたしは,あなた方のため六年目に必ずわたしの祝福を命じ,それは三年分の収穫を産出することになる。22 そしてあなた方は八年目に種をまき,九年目まで古い収穫物から食べるのである。その収穫物が入って来るまで,あなた方は古いものを食べる。
神の知恵はすごいですね。
安息の年、ヨベルの年
民が平安を迎えられるように
過労死することもなく、家族を省み、
奴隷や外国居留者、貧しい人たちのことも考えての取り決めだったんですね。
今日、こんな考え方はないですね。