
うつ病は家族の問題と考えられてきましたが,それにはそれなりの理由があります。すでに述べたように,うつ病になりやすい傾向を代々伝える遺伝的素因があるかもしれません。しかし,家庭の環境も関係しているようです。マーク・S・ゴールド博士はこう書いています。「親から虐待される子どもはうつ病になる危険性が高い。親が過度に批判的で,不十分な点ばかり見る場合にも,子どもはうつ病になる危険性が高い」。親の過干渉や過保護によって,うつ病になることもあります。その一方で興味深い点として,親の関心が不足していると,子どもはなおいっそううつ病になりやすい,ということに気づいている研究者もいます。
しかしこれは,うつ病の若者がみな不適切な子育ての結果であるという意味ではありません。そのような包括的な言い方は,この問題にかかわる他の多くの要素を無視することになるでしょう。とはいえ,家庭環境が大きな素因となっているケースもあります。デービッド・G・ファスラー博士によると,「両親が絶えず緊張した関係にある家庭で育つ子どもは,波風の少ない環境で生活する子どもより,うつ病になる危険性が高い」ということです。「その理由の一つは,争い合う親が口論に熱中して子どもの必要を顧みないことであり,もう一つは,親がとかく子どものことで言い争って,子どもは罪悪感や怒りや苦々しい気持ちを抱くことがあるという点」です。
これらは,十代のうつ病を引き起こす要素の幾つかにすぎません。関係する要素はほかにもあります。例えば,専門家の中には,環境的要素(栄養不良,毒素,中毒物質乱用など)がうつ病を誘発する可能性があるとする人もいれば,ある種の医薬品(一部の抗ヒスタミン剤や精神安定剤など)の影響を指摘する人もいます。また,学習障害を持つ子どもは特にうつ病になりやすいようです。それは,クラスメートについていけないと分かると自尊心が弱まりやすいためかもしれません。
しかし,原因が何であれ,次の問いを取り上げるのは肝要です。どうしたらうつ病の若者の力になれるでしょうか。
[脚注]
この不均衡が生来のものである人も少なくないとはいえ,元々は健康であっても,精神的な痛手となる出来事によって脳内の化学的なしくみが変わり,うつ病になりやすくなる例もある,と一部の人は考えています。
[8,9ページの図版]
家庭での緊張がうつ病のきっかけとなることもある
病理の実験で、
蒸留水で育ててもガンになるヌードマウスを
タールを塗ってもガンにならないヌードマウスの中に入れて育てると、
ガンにならないという結果が出ています。
遺伝的には、ガン家系であっても、環境がガン家系ではなければ、
発病はしないということです。
反対も真なりです。
遺伝と環境、大きく影響しますね。
息子は、過干渉だったのでしょうか?
娘は、学習障害に近かったのでしょうか?
何はともあれ、
この現実を受け入れて、
子供たちのよいところをほめて、
認めて、伸ばすお手伝いができたらと思っています。