信州読書会さんに参加させていただいて、毎週金曜日に
 課題図書の感想文を提出させていただいていますニコニコ

 

    今回は、トルストイの『 イワン・イリイチの死 』の感想です本

 

    19世紀のロシアの裁判官が、「死」と向かい合う過程の
    心理的葛藤を描いた作品です。

    人間はいつか「死ぬ」ということを理解していますが、

    普段は実感していません。永遠の命のごとく、生きている

    のが通常ではないでしょうか?

    
    もちろん、私もその一人でした。だけど、一昨年の父の死が

    「死」に対する向き合い方を変えてくれたかもしれません。
    「生」を授けてくれた親ですが、最後に「死ぬ」ことを

    身をもって体現してくれました。

    今まで、永遠に死なないがごとく、生きてきた私の考えも

    少し変わりました。
    

    この小説の面白いところは、「死ぬ」本人の側からの

    葛藤が描かれているところです。通常の小説は、周囲の

    葛藤を描くと思うのですが、本人の葛藤ということで

    「死」に対するリアリティが迫ってきますビックリマーク

    ひとりの人間が「死ぬ」ということは、家族はもちろん、
    周囲の人間にいかに影響を与え、行動をさせるのかという

    部分が、意地悪く真に迫っています。

   

    是非、しっかりと「生きて」いる間に読んでいただきたいと

    思います!!

 

 

 

                『 死は終わった 』
 
人間はいつ死ぬかわからないから生きていける…という話を聞いたことがある。 病気などで余命宣告をされた場合でも、〇年、〇か月とざっくりで、〇月〇日までという宣告はない。余命宣告を越え て、何年も生存する場合もあるし、あくまで目安で「希望」はまだある。 これらのように、人間は自らの命の期限を知らない為に、死の恐怖から逃れられている。 だが、その死の恐怖と希望の狭間で、辛い時間を過ごしたのがこの小説の主人公イワン・イリイチだ。
 
イワン・イリイチは、ふとした事故で、脇腹に痛みが生ずる病気になる。その痛みは改善することはなく、食欲や気力、
精神力までイワンから奪っていく。そして、やむことのない痛みから、彼自身に死を予測させる。死ぬことを悟りつつも、 死を受け入れられない苦悶が彼を襲う。 死を目前にし、築き上げた地位や家族に裏切られたような儚さを感じ、ますます痛みはひどくなっていく。死を悟ってか
ら、初めてこれらに向き合ったのだ。冗長に日々が流れていくと、どうしても自らの人生に真剣に向き合えないのは…私 も同じだ。
 
イワンは「死」を悟ってから、嘘をつかずに一緒に「死」を悼んでほしいということに気がつく。イワンは「泣きたかったし、
誰かに慰められ、泣いてほしかった」。だが、判事仲間のシェベクがくると厳格な表情を作り、控訴審判決の意義に自説 を述べてしまうのだった。周囲と自分の内側にある嘘こそが、最後の日々を台無しにしているとも知らずに。  それでも、息子のワーシャをはじめ家族を苦しめないことに、自らの「生」の意義を見出してからは、イワン自身が痛 みや苦しみから逃れられた。死の間際に、自分の生きてきた証を捧げられるものを見つけたからだろう。
 
私は、「死」とは肉体的な機能が停止してから始まるものだと思っていた。でも、違う。実際の死は知覚がないので、自
ら「死」を感じることはできない。人間にとっての「死」は、実際の死までに「死」を認識し、「生」の意義を自覚することなの
だとこの小説に気づかされた。だからこそ、イワンは肉体的な「死」の時に「死は終わった」と光を見出す。そして、あんな に苦しめられた死に対して「もはや死はない」と言い切れた。 私も「死は終わった」と死を全うした後、肉体的に死んでいけたらと思った。

 

 

 

 

 

    

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