信州読書会さんに参加させていただいて、毎週金曜日に
課題図書の感想文を提出させていただいています![]()
今回は、夏目漱石の『 こころ 』 の感想です![]()
言わずと知れた夏目漱石の代表作ですね![]()
登場人物も少なく、人間関係も煩雑ではないのですが、
何回読んでも、発見があります![]()
鎌倉の海岸で学生の「私」は、不思議な魅力をもつ男性と
出会います。学生は「先生」と呼んで慕いますが、心をなかなか
開いてくれません。
先生には、親友を裏切って恋人を得たのですが、その親友が
自殺をするという過去を持ち、その罪悪感に苦しめれていました。
そして、孤独な知識人である先生は、自らも死を選ぶことに
なるのです
今回は、二回目の感想ということもあり、先生の罪悪感に
翻弄された先生の妻の「静」の気持ちになって、感想を
書いてみました。先生は、自らの罪悪感に心を占領されるあまり、
妻の切ない気持ちを慮ることができません。
同じ女性として気持ちが理解できるだけに、「先生」に対する
見方も変わりました![]()
『 静の告白 』
先生の頓死から、一年が過ぎました。この世の中で一人きりになりました。
もちろん、市ヶ谷の叔母もおりますが、心から頼れる者はもうおりません。だからこそ、あなたが以前と変わらず、度々訪ねてくださることに、どれだけ心が安らいでいることか…。あなたが訪ねてくれた夜は、以前に泥棒が入るからと留守番をしてくれた夜と同じではないかと錯覚してしまいます。先生も、泊りの用事が終われば帰ってくるような気がいまだにするのです。あ、良人のことは馴染みのある「先生」って呼びますね。
留守番の夜、あなたに「先生は、私を離れれば不幸になる。私ほど先生を幸福にできるものはない」って話しましたわね。いまだにその気持ちは変わりません。だからこそ、一緒に先生の苦悩ごと引き受けてあげたかったのです。…そうです。私はだいたいのことはわかっていました。先生が私を大事に考えてくれたのと同様、私も先生のことは一番大事に考えていました。先生は、女を見くびっているのか、私を見くびっているのかわかりませんが、大事な人のことは集中力をもってわかってしまうものなのです。だから、私に秘匿したいことを暴くことはせず、先生の方から打ち明けてほしかったのです。先生の自尊心を傷つけたくはなかったのです。何も知らないふりをして、何回も「打ち明けてほしい」と頼みました。私にすべてを告白してくれれば、私は一緒に背負うつもりでした。最も幸福に生まれた人間の一対として。
Kさんのことも、すべては先生のためでした。先生に「仲良くして、話してあげてほしい」といわれて、少々張り切ってしまいました。…確かに、鞘当ての気持ちが全くなかったとはいいません。だって、人を欲するってそういうことでしょう?
でも、結果的にはあのようなことがおきてしまいました。最初は、理由はわかりませんでした。その後の先生の苦悩やお墓参りに連れていってもらえないことから、少しずつ理解していきました。先生の愛が事実を打ち明けないことなら、私はそれを知らずに純白のごとき生きているふりをすることが私の愛でした。
先生が、あなたに長い手紙を書いていることは知っていました。先生は、わたしがすやすや眠っていると思っていたみたい。最後まで見くびられたものね。
あなたにすべてを打ち明けたのは、信用できる人を見つけたということです。私は、そんな人間に出会わないことを願っていました。出会ってしまえば、世の中から取り残された一対としても生きられなくなる予感がしていたのです。あなたとの出会いは、最初は偶然だったのかもしれませんが、先生にとって必然となってしまいました。
はっきりいって、あなたが恨めしいです。今夜は、じっくりと恨み言を聞いてもらいますからね…。
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