信州読書会さんに参加させていただいて、毎週金曜日に
 課題図書の感想文を提出させていただいていますニコニコ

 

  今回は、サガンの『 悲しみよこんにちは 』の感想です本

  もうすぐ18歳のセシルは、プレイボーイの父とその恋人エルザと 

  南仏の別荘でヴァカンスを過ごすことになります。

  そこで、大学生のシリルとの恋も芽生えますが、父のもうひとりの

  ガールフレンドのアンヌが合流したことで、人間関係のバランスが

  崩れていきます汗 父がアンヌとの結婚へ進みだしたところから

  葛藤が始まり、残忍な計画を実行することになります…あせる

  
  お気楽な若い女の子の話かと思いきや、物語全般が哀しく切ない

  オーラに包まれています。目の前の事だけを考え、先々のことま

  で考えられないセシルの残酷な計画には胸を痛めますが

  これは昔に、セシルと同じ年代を駆け抜けたすべての女性たちの 

  物語であるかもしれませんビックリマーク

 

 

  

『 悲しみが通り過ぎたあとに 』

 

 セシルの年頃を随分と過ぎて、この小説に出会い、思わぬ追体験をすることになった。

もちろん、この小説と同じではないが、焦燥感や他人と自らの比較、自尊心や優越感の芽生え等が一気に押し寄せ、自らの17歳もヒリヒリしながら過ごしていたからだ。

年齢を経た今回は、どちらかというとアンヌ目線だ。読み進めると、やはり完全な人間なんていないと思い知らされる。アンヌのような規範的なモラリストでもだ。人間は、自らに足りないピースを持つ人間と惹かれ合い、完全を目指す。

アンヌには、一見合わないセシル親子が必要だった。自らの持つ規範的な性分が光るのは、相手が堕落しているからだ。セシル親子も、享楽的な生活を見直すにはアンヌが必要だった。しかし、レイモンには失った「若さ」というピースを補うために、アンヌを裏切ってさえもエルザが必要だった。それが、悲劇の引き金になってしまう。


セシルはアンヌを受け入れたのにも関わらず、反発心を強め、後に取り返しのつかない計画を立てる。アンヌ自身への反発というより、アンヌに簡単に懐柔された同じ世界の「永遠」の共犯者だと思っていたレイモンに対する反発だと思うのだ。アンヌを通して、父の裏切りを見つめていたように思う。だから、アンヌへは思慕の思いもありながら、父と引き離す計画を嬉々として進めてしまう。その計画は、アンヌの死をもって終わりを告げる。セシルにとっては、初めて経験する「悲しみ」の感情を受け入れるしか前に進めない。アンヌの残した一番大きな教育は、セシルが「悲しみ」を敬うべきものとして「こんにちは」と受け入れることができたことかもしれない。

今は、「悲しみ」の中に耽溺できても、いずれ「悲しみ」は通り過ぎる。その時に、何が残っているのだろう。愛していると思ったシリルは、肉体的快楽だけだった。親しいエルザも用無しだった。やはり、セシル自身が事故後に感じた「後悔」の感情だろうか。私も、自らが通り過ぎた青春の後には「後悔」が堆積している。

でも、「後悔」がなければ大人になれない。年齢を経た今ならわかる。

 

私が以前耳にして以来、メロディが好きで今でも口ずさむ曲がある。

薬師丸ひろ子が歌う「メイン・テーマ」だ。その中の一節がセシルに重なる。

「 愛ってよくわからないけど 傷つく感じが 素敵

  笑っちゃう 涙の止め方も知らない 20年も生きて

  きたのにね 」

                     ( 作詞・松本隆 )

 

 

 

 

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