信州読書会さんに参加させていただいて、毎週金曜日に
 課題図書の感想文を提出させていただいていますニコニコ

 

    今回は、中上健次の『 日輪の翼 』の感想です本

 

    住み慣れた「路地」から立ち退きを迫られた七人の老婆

    達は、同じ「路地」出身の若者ツヨシらが運転する

    冷凍トレーラーに乗って、流浪の旅に出ます。

    「路地」とは、被差別部落を表しています。

    なぜ、魚臭いトレーラーに乗って、老婆と若者はどこへ

    行こうとしているのか?

    <伊勢、諏訪、出羽、恐山、皇居……>へと至る道中で

    老婆たちは、神々との出会いに至福を分かち合い、

    若者たちは女あさりに奔放し、性の饗宴を繰り広げます。

 

    詳しい説明もないまま、読者は強制的に冷凍トレーラーに

    乗せられ、ロードムービーが始まります。

    この終着地点のわからない旅の結末は、是非手に取って

    読んで「体感」していただきたいと思います!!

 

 

 

         『 飛び乗るしかないじゃないか 』
 

 

 いきなりの非日常的な場面に驚いた。 

特段のプロローグもなく、若者四人と老婆七人が冷凍トレーラーに乗っているのだ。
強めの方言と荒っぽい文章を追っ ていっても、なかなか状況を掴めない。少し、疲れてきた。 
でも、読み始めたからには、この魚くさい冷凍トレーラーに飛び乗るしかないじゃないか。なんだか魚市場と老婆たち の加齢臭が混ざったような匂いが、読みながらリアルに立ち込めてきた。
 私も暗い冷凍トレーラーに乗っていると、夏芙蓉の花の記述に出逢う。
芙蓉の花は白く綺麗なので想像力を働かせて、少しホッとする。
しかし、香りが白粉だと知り、再び厚化粧と汗の混じった匂いが頭に浮かんでウンザリする。
読みながら、 気分が悪くなるくらい視覚、嗅覚、聴覚が刺激される小説は初めてだ。冷凍トレーラーの臨場感は映画以上だ。

 

 

  徐々に、若者と老婆の背景が明らかになってくる。
「路地」と呼んでいる被差別地域から立ち退きを迫られ、流浪の旅 に出たのだ。
そして、伊勢、諏訪、出羽…と御詠歌を唱えながら、巡礼をしていくのだ。 やっと、夏芙蓉の花をツヨシが取った時に「ここが境目なんかいね」と訊いた老婆の真意がわかる。
熊野の路地にあった同じ夏芙蓉の花。「路地」と二度と帰れない旅との境界線。
旅の途中で、ハツノオバが亡くなった時、葬式はしないと決めていたとの覚悟を読んで、老婆たちはこの冷凍トレーラーに、残りの人生ごと乗せたのだと思うとじんわり涙が出そう になった。 
この「境目」が、読み進めていく途中で、余計に切なく思い出された。

 

 

  老婆たちは、伊勢で参拝したり、嬉々として清掃としたりと、神と同じ空間に居る時は、とても幸せそうだった。
四国の八十八か所巡りもしかり、神を巡礼することは人間を動かすものがある。
次元は違うが、最近は映画やアニメでの「聖地 巡礼」流行りだ。
老若男女関係なく、自分が信ずるものの傍へ身を置くことは、とてつもない安らぎなのだろう。

 

 

 ハツノオバが亡くなり、タエコが旅に加わる…生死の循環のように冷凍トレーラーが「社会」になっているようだ。
路地 時代のオカイサンを炊いたり、「路地」の社会ごと冷凍トレーラーに乗せた老婆たち。終の棲家との覚悟だ。
 私も五感を刺激されながら、振り落とされないように必死に乗っている(読んでいる)。 
でもまだ、「曼珠沙華―天の道」の途中だ。これから、出羽、恐山、皇居へと同乗するつもりだ。もうすっかり、冷凍トレ ーラーに慣れてきた。

 

 

 
 
 

 

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