はじめに:突然告げられた「脳の形」の違和感
順調だと思っていた妊婦健診。いつも通りにエコーの画面を見つめていたとき、先生の手が止まりました。「赤ちゃんの脳の後ろ側の空間が、少し広い気がする」。その一言から、私のトツキトウカの景色は一変しました。
より詳しく調べるために行った、胎児MRI検査。大きなお腹を抱えて静かに横たわりながら、どうか何事もありませんようにと祈る機械の音は、今でも耳に焼き付いています。
下された診断は「ダンディ・ウォーカー」。
小脳の発達や、脳の中の液体の通り道に特徴がある疾患だと説明を受けました。
頭が真っ白になり、気がつけば「私の何がいけなかったんだろう」と、自分を責める涙が溢れていました。
「生まれてみないと分からない」という、果てしないグラデーション。
診断を受けてから、狂ったようにスマートフォンで検索を繰り返す日々が始まりました。
そこで知ったのは、この病気が持つ「個人差の大きさ」という現実です。
先生からも「お腹のなかの画像で “脳の形” は分かっても、この子が将来どれくらい歩けるか、言葉がどうなるかという “症状の重さ” は、生まれて成長を見ていかないと分からない」と言われました。
元気に走り回っているお子さんのブログを見つけては希望を抱き、厳しい症状の記事を見ては胸が締め付けられる。
答えの出ないグラデーションの真ん中で、まだ見ぬ未来の恐怖に怯え、一喜一憂する感情のジェットコースターに、心も体もすり減っていきました。
お腹のなかの胎動と、少しずつの覚悟。
どんなに頭の中が不安でいっぱいでも、お腹の娘は元気にポコポコと動いて、一生懸命に生きていることを教えてくれます。
その愛おしい胎動を感じるたびに、「この子を全力で守りたい」という強い想いと、「生まれてからこの子にどんな苦労をさせてしまうんだろう」という恐怖が、交互に押し寄せてきます。
でも、夫が私の手を握り、「形がどうであれ、俺たちの可愛い娘。どんな状況になっても、一緒にゆっくり歩んでいこう」と言ってくれたとき、張り詰めていた糸が少し緩みました。
事前に病気が分かったということは、生まれてすぐにこの子に最適な医療やリハビリをスタートさせてあげられる、ということでもある。病院の先生たちも、万全の体制を整えて待ってくれている。
そう自分に言い聞かせながら、私は「ママ」としての覚悟を、少しずつ、少しずつ手探りで育てています。
出産を待ついま、娘に伝えたいこと、、
今、私にできることは、このお腹のなかで、娘をできる限りの愛情で包み込んで育てること。
生まれてくる娘へ。
お腹のなかでたくさん元気をくれてありがとう。
これから先、通院やリハビリ、周りの子と比べてしまう日だってあるかもしれない。
でもね、ママとパパは、あなたが生まれてきてくれるその日を、世界で一番楽しみに待っているよ。あなたのペースでいい。ゆっくり、一緒に大きくなっていこうね。