「では問題。大家と仲のいいご近所さんは、臼田、飯塚、竹内、あと一つは?」

「高橋」

「正解。よく分かったね」

妻のマリー・アントワネットが僕の回答に驚いている。つーか、何この問題。

「大家チャーンス!」

大家チャンス? 僕の疑問をよそに妻は続ける。

「さあ、この問題に正解すると一億点」

「一億? それは高いのか?」

「もう超高い。では問題。大家と仲のいいご近所さんは、臼田、高橋、竹内、あと一つは?」

「さっきと同じじゃん。飯塚」

「ですが、飯塚のジジイは最近何かが終わったと言っています。さて何が終わったでしょう?」

「山」

「正解。ああ、もう山は終わった」

妻が飯塚のジジイの真似をしながら正解VTRをしている。

説明が遅れたが、僕たち家族はアパートに住んでいる。そのアパートの隣に大家の家がある。大家の家族構成は101歳のばあちゃんとその子供、と言ってもこちらもジジイだが、それとジジイの妻、これもババアであるが、その三人。ジジイにババアばっかりで紛らわしいが、ジジイ、ババア(ジジイの妻)、101歳のばあちゃん(ジジイの親)である。僕たちが大家と呼んでいるのは、主にババア(ジジイの妻)のことである。

ババアは暇な上にジジイに相手にされていないらしい。そのためか、うちの妻と1歳の息子ガジローをやたらと自宅に呼んで、お茶飲みをしたがる。そこで妻が仕入れた情報を、今はクイズにしているらしい。

「横取り大家。これに正解すると相手の大家を横取りできます。さあ、セバスさん、何点大家賭けますか?」

「いくらあるか知らないけど」

「さあ問題、飯塚のジジイはかわいそうだと大家は言っていました。さてなんでかわいそうなのでしょう? ヒントは夜勤です」

「みんな夜勤で家に誰もいない」

「おしい、いないから? 何かをしてもらっていません」

「食事を作ってもらっていない」

「正解。二億大家ゲットー」

飯塚の構成はジジイにオヤジのオバタリアン。ジジイは95歳でオヤジとオバタリアンは働いているからたぶん50代。

「間の泉田チャーンス」

泉田とは飯塚と高橋の間の家。大家とは仲良くない。

「泉田のババアはジャスコで要注意人物でした。なぜでしょう?」

「クレーマーとか?」

「残念。正解は万引きでした。続いてクリスタル大家くん」

「まだやるの? 世界ふしぎ発見みたいになってるよ!」

その前に万引きの話をもう少し詳しく聞きたいんだけど。今の妻に言ってもクイズの最中は無理だろう。

「大家は最近何かに餌をあげています。さて何に餌をあげているでしょう?」

「カラス」

「その名前は?」

「カー子」

「その後に来る動物は?」

「すずめ」

「その名前は?」

「チュン子」

「大正解。全問正解。さあ、最後の問題。飯塚、臼田、高橋、あと一つは?」

「竹内」

「おみごとー」

もう問題でも何でもなく合言葉みたいになってるよ。

そうこうしている間に、ガジローが眠りに着いた。よくこんなうるさい中寝たな。

そして大家クイズは最後と言ってから2時間近く続いた。

「ねーセバス、××毛母さんやってよ!!」
「やだよ! さっきからずっとやってるじゃん」
「いいから、やってよ」

※××は文脈から想像して下さい。
あらすじ
数年前のゴールデンウィークにセバスと妻マリーアントワネットはグアムに旅行に行った。そこでセバスとマリーアントワネットはマリンスポーツをして楽しんでいた。すると、マリンスポーツを行う船である家族と一緒になった。その家族のお母さんは、あろうことか、パラセイリング(パラシュートで空を飛ぶ遊び)をやるために乗り込んだ船で船酔いをしてしまった。その後のお母さんはもちろんパラセイリングをしなかった。しかも、旦那と息子が空を飛んだ時の写真も船酔いのため撮ることができなかったのだ。
そんな災難続きのお母さんには、人には見られてはいけない、とんでもない秘密を持ったお母さんであった。その秘密は、水着姿のお母さんの股から常識を超えた量の毛がはみ出していたのだ。その秘密を知ってしまったセバスは、このことをマリーアントワネットに話そうとするのだが、話は思わぬ方向へ。

「どろろーん。妖怪、××毛母さん現る」
股から毛がはみ出しているお母さんを僕は××毛母さんと呼んだ。そして、ゲゲゲの鬼太郎のパロディーとしてマリーアントワネットに聞かせた。
ユメコ 「鬼太郎さん、鬼太郎さん、大変です」
鬼太郎 「どうしたんだい、ユメコちゃん!? そんなに慌てて」
ユメコ 「海に変な女の人がいるんです!」
鬼太郎 「変な女? どんな女なんだい?」
ユメコ 「赤い水着を着た、痩せた女の人です」
鬼太郎 「赤い水着? 父さん、何か知っていますか?」
目玉のオヤジ 「うーん。恐らく××毛母さんだな」
鬼太郎 「××毛母さん? 一体どんな妖怪なんですか?」
目玉のオヤジ 「わしも詳しくは知らんのじゃが、海でパラセイリングをする時、旦那と息子の写真を撮ることができなかった、かわいそうな妖怪じゃ」
砂かけおばば 「鬼太郎、鬼太郎、海に変な女がおるんじゃ」
鬼太郎 「父さん!」
目玉のオヤジ 「うん。××毛母さんに間違いない! 鬼太郎××毛母さんには気を付けろ、××毛母さんは凄い毛の量じゃ」
鬼太郎 「父さん、でもみんなが困っているんだ。僕は行くよ」
目玉のオヤジ 「鬼太郎、あまり深追いするでないぞ!」
鬼太郎 「出たな××毛母さん」

船で倒れこみながら、デジカメの操作をしようとする××毛母さん。そこに、声をかけに行く、他の客。
まん毛母さん 「あ、あ、こ、このボタンを押すと」

デジカメの操作を教えようとするが、声をかけた客は聞く態度ではなく、そのままデジカメを受け取り係員に渡す。
「こうして××毛母さんは海に消えました」

「セバスおもしろーい。もう一回」

いい加減にしろ。

「なんで7時40分にめざましかけて、10時すぎまで寝てんの!?
何のためのめざましだよ!? しかも止めるの俺だし。軽い嫌がらせかよ?」
「なんで?」
「なんでじゃねーよ。こっちが聞いてんだよ。しかも排卵日検査用の体温計も5分後に鳴って、計ってまた寝るし。寝起きの体温じゃないと意味ないんじゃないの?」
「セバスっておもしろいね」
妻のマリーアントワネットには罪の意識がないらしい。
このブログも笑いながら見ている。
そしてまた寝た。