運転士の異常時対応とプロ意識 | 鉄道マンたしろかおるのナイショ話

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元山手線運転士・元参議院議員 たしろかおる の鉄道ブログです。

元山手線運転の参議院議員 たしろかおる です。


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今回は、私の異常時対応の経験を書きます。




私が山手線の運転士をしていた頃、何度か異常時に遭遇したことがあります。そのうちの一つに、ドア故障があります。


駅到着時、車掌から、ドアが開かない車両があるとの連絡がありました。車両の応急処置はすべて運転士の任務。指令へ連絡後、現場へ急行します。


当該車両に到着すると、やはり、ドアが開扉していません。車掌と協力し、乗客を他の車両へ誘導。ドア故障の処置を行うことになります。


ドア故障の処置には、故障の状況によっていろいろな処置方法がありますが、全ドアが開扉しない場合は、その車両を締め切り扱いにして運転を継続、車両交換の手配を行います。


締め切り扱いといっても、いくつかの車両の処置を行わなければ、運転を継続できません。まず、全ドアと貫通ドアを鎖錠します。これは、故障した車両に乗客が入らないようにするための処置。


次に当該車両車端部にある配電盤を開け、「ドアスイッチ(DS)」ノンヒューズブレーカー(NFB)を「切」とします。これは、車掌が扱うドアスイッチの電気指令が、故障した車両に届かないようにして、故障車のドアが動作しないようにする処置です。


次に運転台に戻り、非連動運転スイッチを「非連動」位置とします。これは、故障車のドアスイッチNFBを「切」としたことから、戸閉め連動回路ならびに運転士知らせ灯回路が構成されなくなるため、通常の連動運転ができなくなるための処置です。


連動運転とは、すべてのドアが閉扉しなければ、運転士がノッチを入れても主電動機に電気が流れないようにする戸閉め連動回路を使用して運転することです。逆に、非連動運転とは、この回路を使用しないで運転することです。また、運転士知らせ灯回路も使用できないため、通常の「知らせ灯式」の出発合図が車掌から受けられません。出発合図は「ブザー式」に変更となります。


このような処置と、指令との打ち合わせ、車掌との打ち合わせを行ったのち、運転再開となりました。この間の所要時間10分弱。異常時ですので、あまりゆっくりと手順を考える暇もなく、体が先に動いていました。


後で考えると、これだけの処置を行って、10分弱で運転再開できたのは、我ながらよくやったと思いました。これは、私に限らず、どの運転士にも求められるスキルです。あらゆる異常時に対応できるように、運転区所の指導担当という任務に就いている運転士たちがカリキュラムを組み、毎月、机上訓練や現車訓練を行っています。私も、この訓練の積み重ねがあったからこそ、突然の異常時にも、体が自然に動き、対応できたのだと思います。


この処置について、私は運輸車両部長から表彰されました。あまり褒められることの少ない私の、貴重な経験となりました。



今回もご覧いただき、ありがとうございました。

元山手線運転士の参議院議員 たしろかおる は、7月10日投開票の参議院議員選挙に比例区から立候補いたしました。比例区は全国どこからでも投票することができます。唯一の現場の電車運転士出身の参議院議員 たしろかおる へのご支援を、何卒、よろしくお願いいたします。

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