九州の被災地への救援物資輸送列車に乗務して | 鉄道マンたしろかおるのナイショ話

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元山手線運転士・元参議院議員 たしろかおる の鉄道ブログです。

元山手線運転士で、現在は参議院議員の たしろかおる です。


今回の熊本地震では、多くの方がお亡くなりになりました。また、多くの方々が怪我をされ、被災し、現在も避難生活を送られている方々がたくさんいらっしゃいます。改めまして、お亡くなりになられました皆様のご冥福をお祈りし、怪我をされた皆様、被災された皆様、現在も避難生活を送られている皆様にお見舞い申し上げます。


今回は、熊本地震で被災された方々への救援物資輸送列車を担当した運転士からの乗務報告が届きましたのでご紹介します。




私は貨物列車の運転士をしています。私の住んでいる岡山県でも4月14日と16日はかなり揺れました。最初は南海トラフ地震かと思いましたがテレビをつけると熊本が震源でした。


貨物列車関係では、東海道本線が不通となった阪神大震災・伯備線が不通となった鳥取西部地震が頭に浮かびました。 何ヶ月も鳥栖~鹿児島間が不通になるのではと、不安がよぎりましたが熊本地震では在来線の復旧作業が終了し4月21日に運転を再開しました。


JR貨物も救援物資輸送列車を走らすことが決まり、職場の仲間とこの輸送列車がしっかり被災地の皆さんに役立って欲しいと話をしていました。


すると、私の勤務が急きょ変更になり、この救援物資輸送列車を担当することになりました。岡山貨物ターミナルから広島貨物ターミナルまで深夜時間帯2時間強の運転です。


深夜時間帯のため人目に触れることは少ないですが、この私が運転する救援物資輸送列車により、震災で困っている人の役に立てると思うと、いつになく緊張しました。


当日は兵庫県と岡山県の境で鹿と上り貨物列車が接触したことにより、岡山は30分遅れで到着。ここまで運転してきた運転士と引き継ぎました。


機関車は吹田機関区のEF210、貨車は10両。荷物を発送した方々の思いを乗せて深夜の山陽本線を最高速度95km/hで西下します。


秒単位で遅れを戻しつつ誰もいない真っ暗な街を走りました。 倉敷・福山・尾道とかつて特急列車が停車していた駅も通過します。


三原から広島までは65~75km/hの速度制限が多い区間で、速度調節に気を遣いながら、遅れを取り戻します。


たしろさんのこのブログのシリーズ「長さんの鉄道写真館」にも先日登場した、昔も今も変わらぬ山陽本線の難所、八本松駅~瀬野駅間の通称「瀬野八」の峠を慎重に下りました。


広島には25分遅れて到着、次の区間を担当する運転士に乗り継いで私の乗務は終了しました。


乗継を終えると列車はすぐに発車。避難所で今後が見えず不安な生活を送っている方々に救援物資が無事届きますようにと心で願いながら、乗務してきた救援物資輸送列車を見送りました。


最後になりましたが、震災に遭われた方々の日常が一刻も早く戻りますように、心より祈念し、救援物資輸送列車の乗務報告とさせていただきます。


(使用した写真は、救援物資輸送列車の写真ではありません。私はその列車に乗務していたので、写真を撮ることはできませんでした。雰囲気だけでも感じていただければと、私が以前撮影した機関車の写真を使いました。)




今回もご覧いただき、ありがとうございました。






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