都内を電車で移動中。そんな時にかぎって、電車が止まり、立ち往生してしまう。電車が止まった瞬間、音が全部抜けた。モーターの低い唸りも、線路の擦れる音も、ふっと消えた。車内の空気が重たくなって、誰かのため息が音楽みたいに響いた。動かない時間って、案外リズムがある。吊り革の揺れ、遠くの駅アナウンス、携帯の通知音。全部が不規則なまま、でも確かに「テンポ」を作っている。作曲も同じかもしれない。流れが止まった時こそ、音の形が見える。進めないことに、意味がある気がしてる。窓の外では、曇り空が少し明るくなっていた。再び動き出す前の、ほんの一拍の休符。