とうとう、公演も残りわずかになってきました。

ここで……。

今回の舞台【黄色い叫び】

作、演出の中津留章仁からの、当日パンフレットの文章を全文掲載します。

表現者としても、人としても非常に共感出来ます。




以下全文



この「中津留章仁LOVERS」というカンパニーは

私と若手俳優によるユニットであり

去年の10月に一回目の公演を行い

12月に2回目、そして今回で3回目になる。


こんな時期だけに

公演を行うか辞めるか、そこから考えて

やると決断してからは

それまで考えていた話を捨て去り

新しく物語を構築しなおした。

そもそも芝居自体、無駄な電力を使う訳で

やる意味がないものは辞めた方が良い。

むしろ辞めてくれた方が有り難い。

そういったものをやられても

芝居の、演劇の品格が下がるだけだ。

つまりこういう時だからこそ

作家の魂と、その真価が問われるのだ。


望むところである。


我々のような仕事は一見

人々の生活と身の安全があった上で

最後に成り立つ職業のように思えるが

被災地での子供たちはきっと

画用紙がなければ大地に絵を描き

音楽がなければ自ら歌を口ずさむ。

道具がなくても

ままごとなどのごっこ遊びを始める。

例え住む家がなくても

明日に不安があったとしても

人は芸術に触れられずにはいられない。

心を豊かにしようとする営みを忘れない。

私の敬愛する岡本太郎氏が唱えている通り

芸術とは生きることそのものであり

人間らしさを取り戻す最善の行為だと

私は信じている。

今回沢山の方々が被災し、お亡くなりになられたが

彼らを弔う気持ちと共に

生きている我々が今、彼らの分まで

人間らしさを取り戻さなければならない。

「生きる」ということの意味を知らねばならない。

結局私の一生など

それを探し求めるだけの旅で終わってしまうのだろう。

そう、この芝居は私の日記だ。


観る者の血よ、騒げ。


この芝居を、東北地方太平洋沖地震で亡くなられた方々

並びに被災した全ての方々に、捧げる。



中津留章仁