阪急電車、見ました。


http://hankyudensha-movie.com/


私は阪急沿線上に住んでいて、阪急関大前駅まで、毎日通学していました。

チョコレート色の、レトロで高級感のある電車で、

関西人からも、ひそかに不動の人気を誇る電車です。


私の好みの映画でした。

あのなかに、何か強烈なメッセージやインパクトがあるわけではなく

いろんな人の日常をただ描いていっただけ。

そういうのが、好きなので。

こってりしているように見える関西ですが、実際は、素朴で穏やかな、

この映画みたいなカラーで、そこが私のお気に入りでした。


人は、生を受けて生き始めるのだが

何か大きなことをやるために生まれたとか、

せっかく生まれたのだからあれもこれもしなければいけないとか、

べつに、そういう指令は、誰もうけてきていないはずで。


オルゴールのように、ねじが巻かれたから、人は生き始めるだけ。

そのねじは、人によって巻かれ方がちがっていて、

たくさん巻かれた人もいれば、そうじゃなかった人もいて、

自分のねじがどれだけ巻かれたか、

いつ止まるのかについて、誰も知ることはできない。


そのねじが止まるまで、ただ生きていくことくらいしか、

べつに、きまりは、ひとつもないはずなのだ。

ねじが止まるまでは、何をしようが、何が起ころうが自由、人それぞれ。


私が阪急電車に乗っていたころも

たぶん、あんな日常が、いろんな人に起こっていたのだろう。

誰もいちいち言わないし、周囲はふつう、気にもしないけど。


ああいう感じの色が描ける監督が、私の好みみたいです。

ふつうな感じを上手に淡々と描いたなあと。