しっとりと続く雨が黄砂をぬぐって葉だけになった桜の幹や若葉の鮮やかな緑に艶が戻る。その新しく生まれた色の領域を街や山々に広げながら人々の心にそれぞれの印象を与える、その力を宿す。色とは光の波長。肌にしめったぬくもりを与える春の雨。経過するだけの時を一瞬止める言葉という魔法。


文学的に始めてみました。(今回のコラム、めっちゃ長いです)
先日の土曜クラスでは全員がTシャツ姿でのレッスンとなり、すでに朝から初夏のようなムード!でもまだ花粉や黄砂のせいなのか目や鼻がすこしムズムズすることがありますね。私は花粉症ではないものの、目鼻の感覚器官は敏感に外の環境を察知して症状として現れ、あぁそうだった、と黄砂の飛来に気づくことになります。さぞかし花粉症の方にはお辛い時期だろうなとお察しします。ヨガで花粉症のような症状に効果があるといわれるポーズを先日レッスンで多用してみたところ、なんだかスッキリと鼻炎的症状が突然おさまって我ながらびっくりしたことがあります。最近レッスン後に、参加された方から「つまっていた鼻が両方通った」というご報告をいただくこともあって、効果があったんだな~って思って私も嬉しくなります。

【体はリアルな情報源】

花粉症などのアレルギー的な症状は、リラックスしている時のほうが出やすいといわれますので、この時期は交感神経が優位に働くようにレッスン構成のバランス比重をかけることがあります。今回の場合は、シャキシャキとアクティブに動く系のヨガに、胸を開くポーズ、ねじりのポーズと、背骨をしっかり動かす、頭を下にするポーズやツボを刺激するなどが効果的でした。

花粉症に限らず、腰痛や重だるい感じなど、人の体は変化に適応しずらい環境下で不調が出ます。なので私も完全無欠ではないわけなのですが、不調でさえも学びと応用につなげるポジティブさで、ヨガによる効果が少しでもあればレッスンにどんどん取り入れていっています。生身の体に効果的だったことを、経験値として積み上げて日々アップデート。単なるデータ的結果を読んでいるよりもずっと直接的なので、生きた情報を塗り替えていっているような感じさえします。

【ヨガによる様々な内的アプローチ】

瞑想する時は体は動かさないので内側をどんどん研ぎ澄まして頭の中をクリーンにしていく練習です。リラックスしながらも集中力を保つため、ゆらぎのある状態とのはざまで鍛錬をしているような感じです。きっと良い脳波が出ているんじゃないかなと思われます。瞳を閉じることで視覚による入力がオフになるため他の感覚が非常に冴えてくるのが特徴で、呼吸の一点に集中することで、短時間であってもとてもよいヨガ的プラクティスとなります。

一方、様々なポーズを組み合わせ動いていくとき(つまり身体的な出力)には、体の感覚と共に脳や知覚の同時性というインプット(動きの中にある学び)は結果的に、どんな感じ(不調は改善したのか、スムーズで安定した動きであったか)、によってすぐ分かることなので、圧倒的にリアリティのある情報量でもって個人的内部に働きかけてきて気づきをもたらしてくれます。

私の場合、どんな書物を読むよりも疑いようもない事実として認識できています。どんな場合においても(ヨガをしていないときでもいつでも)身体は常に(心も頭脳も含め)前衛的なポジションに置かれていて、その内部では休みなく働いているともいえます。ヨガは競技ではないところが自分の性格にも合っていて、心体技の統一みたいな感じになります。単なるリラックスタイム以上に効果的だと思えるのは、ヨガのある生活を送ることで、その他に行っている事についてのパフォーマンスがぐんと上がるのではないかな、というところです。

【穏やかに呼吸すれば、健康が後からついてくる】

ヨガには、体の機能をバランスよく自動的に保ってくれる大切な機能である自律神経をニュートラルににもどしてくれる効果があります。そしてヨガになぜ呼吸法があるかというと、呼吸を整えることで体や心を整える(自律神経でさえ整えることが出来る)ということを、古代のヨガ行者達は知っていたのでしょう、様々な呼吸法が編み出され活用されてきました。呼吸ならコントロールできますから、自分で意識的に呼吸を整えれば体も心もつながっているので自動的に穏やかに整うわけです。

吸う息では交感神経が、吐く息では副交感神経が優位になるといわれていますが、現代人は働き過ぎであったりストレス過多な状況に置かれることが多いので、スイッチがオンの状態が長く、呼吸は浅くなりがちな方へ偏っています。ぜひヨガをするときのようなゆったりとした呼吸を、仕事中でも忙しい時こそ、思い出して一呼吸おくことを忘れないでいてほしいなと思います。その方が結果的に能率が上がるということに着目し、大手のIT企業が瞑想を取り入れていることが話題になったりもしましたが、それはライフスパンにおいては明白な事実だと思います。

【右と左を司る何か】

たとえば今、自分の呼吸を観察してみると、右の鼻の穴か左の鼻の穴どちらかが通りが良くて、どちらかが少し通りが悪い方がほとんどだと思います。これらの調整は、自分の意志に関係なく自動的に調整されています。(しかもこの不思議な働きは科学的にまだ解明できていないそうです!)右の鼻呼吸は左脳に働きかけ、左の鼻呼吸は右脳につながり作用します。左脳は計算や言語、理論的な仕事しているそうです。左の鼻呼吸は右脳に関わり、芸術的で感覚的、直観に優れ音楽や芸術的な仕事をおこないます。没頭しているときアイディアがおりてくるようなひらめきをもたらすような仕事をしている、といわれています。ちなみに、鼻呼吸が左右とも同じように通りが良いときが最も瞑想にふさわしい状態であり、その効果は絶大といわれています。それだけ、両方が等しく整っていることは稀ともいえます。

【すべてはバランス】

私の感覚では、おそらく右と左みたいにきっちり分けられてはいなくて、相互に働きあうことでオリジナリティのある発想が生まれるのではないかなって思っています。自分の中の女性性、男性性、中庸を選ぶ、など…、皆さんもありますよね?男前な考えや行動を起こすことが!または女性的な感性を尊重すべきだと理解できることなど。時と場合によって強く押し出される感情を伴う判断や考えなど…それらは、知識や学習➡思考➡発想➡個性との融合➡ねかせる➡醸造➡自分のものではないような気づきやひらめきが、ある日突然おりてくる!、、、みたいな感じで、この世のあちこちにさまざまに形を変えて表出してきています。降ってくるとかおりてくるという風に表現するアーティストも多いですね。ちなみに今の時代だと、男性脳、女性脳っていう言いかたでの区別もあまりよろしくないのかもしれないですけど、まぁでも表現は自由な方が平和に近いとみなして仮に左脳を男脳、右脳は女脳というように捉えてみても面白いかもしれません。

【生命エネルギーとは?】

ヨガの世界観で表現すると、左の鼻の穴から入ってくる呼吸の通り道をイダー(サンスクリット語で月の気道)と呼び、右の鼻の穴から入ってくる呼吸の通り道をピンガラ(太陽の気道)といいます。体内に取り込まれた呼吸は生命エネルギー、プラーナといい、その通り道をナディーといいます。体内に張り巡らされたその通り道はすべて合わせると約35万もあるそうです。東洋医学で言うところの経絡みたいな感じだと思います。実際、吸った空気は気管支を通り肺に運ばれた後毛細血管に取り込まれ、血液に乗って体の隅々まで酸素を運び、体内すべての何十兆もの細胞に届けられ、それによって細胞は細胞の仕事を成しているのです。私たちの内側にありながら、思考を超えたところにある身体の神秘ともいえる完璧に連携された仕事です。単なる呼吸とあなどることなく過不足なく末端まで生命エネルギーを届けて末永く健康でいたいですね。

特に主要なプラーナの通り道は背骨に沿って3つ。左の鼻の穴から入ってくる月の気道といわれるイダー。右の鼻の穴から入ってくる太陽の気道ピンガラ。そして、その真ん中を通る、火を意味する気道がスシュムナー。ヨガで体を動かすと、生命エネルギーの通り道(ナディー)が滞りなくクリーンになっていきます。気道の通りが左右ともバランスよく整うことでやっと、最も重要な真ん中にある通り道(スシュムナー)が通ってきます。


(AIを用いて画像を作ってみました!素敵な感じ♪)


プラーナは背骨に沿って下から上へ上昇していき、7つのチャクラすべてを開き貫通していくことができると、生命エネルギーを使って本来の人間の持つパワフルな能力を発揮することが出来るそうです。チャクラとは、気やエネルギーの流れが集中する場所で、語源の意味は車輪とか回転するというような言葉だそうです。(でもそう簡単には7つのチャクラを下から順にきれいにバランスよく開いていくことはできないらしいです)

たとえば、なんでもかんでも電子機器に頼りっぱなしの生活であれば、潜在的に備わった能力を開花させるどころかテクノロジーに依存的になり、その能力は使う出番のないままそのうち閉じてしまうでしょう。第六感が働かないし、受け取れるはずのインスピレーションもキャッチできなくなることは、ある意味弊害だと思います。


【Perspective】

こういったことは個人の体の中のことを言葉で表現しているので、おそらく古くからのヨガ行者達も、どのようにこの見えないエネルギー体の働きを伝えていこうかと考え、工夫して口伝でイメージしやすく、クリエイティビティを発揮して、後世に伝えてくれていたのかなって想像します。たぶんそれは各国に伝わる神話などにもそういう意図があるのかもしれないですね。本来のパワーに気づかせるための工夫みたいなことが。

そもそも、うつろいやすい社会的な常識を排してしまえば、意味も理屈もわからなくたって、科学的に未だ解明されていなくとも、完成度高く関係性を保ち存在しできあがっているもの(宇宙における地球の配置とか、驚異的な形や色合いのあらゆる生命体、自然の摂理や循環など)について、疑いようの余地はなく既にもうそこにあるんだな~豊かだな~って私はよく別の視点をもって感嘆しています。ヨガ的なワード、サントーシャ(足るを知る)にもつながりますが、現在ではサステナブルと言ったキーワードにも関係したりするのではないでしょうか。

【チャクラ、宇宙、オンライン】

さて、なぜこのような長々とした話を書いているのかと言いますと、2月にオンラインヨガをした時に、皆さんが集まるまでの少しの待ち時間のあいだに、ヨガのオラクルカードを引いてみたのですね、ふと思いついて。オラクルカードって何?って感じですが(当の私もあまりわかっていなかったのですが)タロットカードみたいなイラストが入っているカードに、ヨガ的なキーワードとイラストが描かれていて、そこからメッセージを読みとくものです。でもそれは占いではなくて、気づきをもたらすメッセージのような役割をもってやってきます。丁寧にカードをシャッフルして出てきたカードが『サハスラーラ』でした。




サハスラーラとは、下から数えて七番目にある頭頂にあるチャクラで、英語ではクラウンチャクラといいます。肉体を超えた霊的なポイントで宇宙意識や叡智とつながりがあるため、光で表現されることも多いようです。私はヨガを学び教えるようになってから、宇宙について調べたり考えたりすることが多くなったので、このカードが出てきたことに納得というか、なるほど!と思いました。そして、オンラインヨガご参加の皆さんに「サハスラーラについて記事を書きますね」とお伝えしてからもはや一か月以上たってしまっていました!今回やっと執筆できてよかったです…。説明するのに寄り道しながら、頭頂のチャクラまでたどり着くのにかなり長文になってしまってますが…。

普段のレッスンでは、フィジカルに動くことに集中していますが、たまにはカードを引いてみたりして、キーワードからいろいろとヨガに関する知識や学びをシェアできたらよいなと思っています。

2月のオンラインヨガでは、遠方からのご参加や小さなお子さんと赤ちゃん連れの方もいらっしゃって、久しぶりに画面越しにお会いできたこともとても嬉しかったです!距離や場所を選ばずお家でレッスン出来るオンラインの気軽な良さと、いつもお会いしている方と画面越しでヨガをするのも、あらためて新鮮に感じられました。参加して下さった皆様ありがとうございました。また時期を見て開催したいなと思っています。

スタジオレッスンご参加の皆様も、あらためてこの春からもどうぞよろしくお願いいたします。




(おまけ)


お店でたまたま見つけた可愛い宇宙イラストのチョコレート♪
初めてのパケ買い。オーツミルクを使用したお味も美味しかったです!