墨瞑想
何故、墨から離れないのか?
未だに理由が分からない。
こんなにも長い間、
筆先が何も動かないのに。
遥か昔の
自分が伝えてくる何かを
受け取ってみようか。
ふと、思いついた。
そうそう、
一旦、筆先を離して
再び持ち始めた時に
不思議な発見があった。
当時、
何をイメージして描いたのか?
どんな心境だったのか?
さっぱり覚えていないけれど、
描いた文字が、
十数年後の自分に結びつくものばかり。
不思議。
時間がある世界では、
"過去に遡って見る"
ことになるけれど、
私の生むものは、
"未来を眺めて、今、描いた"
ものなのかもしれない。
さて、
時間軸をへし折って
自分に会いに行く旅へ。
出発。
旅
たび。
確か、筆先を
再び持ち始めた頃に描いた。
ひとつの旅が終わりを告げて
というか、突然、終わって。
断崖絶壁の足元。
そこから、一歩、後退りして。
クルりと向き直り
トボトボと、あてもなく
歩き出した頃。
久しぶりに
筆を握り、現れた文字。
旅は まだ 終わってないよ
そう、自分に呼び戻された。
きっと、そんな瞬間。
たぶん、ね。