​やってきたもの


今日は、

2つ。


不思議な事が

立て続けに起きた。


美術誌の掲載依頼。

それから、

画廊からのコンタクト。


2つとも、よくある話。

そう言ってしまうと、

そうなんだけれど。


キッカケになった種が

自分にとっては、

特別だった。


ずっと無我夢中で描いていた、

ずっと描き続けたいと思って

描いていたものがあって、


それが、いつからか

全く描けなくなっていた。 


あるものを手放して

久しぶりに描いた。


自分が、

自分の素直な瞬間が

切り取られているようだった。


弱々しい、不安そうな線。

臆病な。


その一枚。

何故か氣になって残した。


これといって、 

満足出来る仕上がりではなかった。


それでも、

本当に包み隠さず、

飾らずに自分が移されていたから

なんだか尊かった。


アトリエ部屋の神棚に

なんとなく、ふわっと捧げた。


そんな、特段、

目を惹く出来ではない一枚が

見て下さった誰かに届いた。  


不思議だな。

でも、わたしは

そんなふうにしか描けないんだろうな。

つくづく実感した。 


有り難い。


暗闇に居ても

居るからこそ

光が。


そんな一日だった。


雨が一緒に連れ去ってくれた

何かが在った場所には、


新しいものが

据えられたのではなく、


いろいろなものを纏って

見えなくなっていた

わたし

が、見えてきたのかもしれない。