陰徳を積む



表舞台には現れないけれど
黙々と役割をはたす。

そんな背中を
側で観せて頂いた事があった。


一時たりとも、休むことなく、
場の空氣を明るく保ち、
出過ぎることなく、
役割を淡々と果たす。

きっと、
もっと、もっと、
本当の事をたくさん、たくさん、
伝えたかったり、
喉元まで何度も何度も
出かかって飲み込んだり。



何故、こんなに尽くし、走り続けるのかな…?

なんだか、凄く苦しくなるくらいだった。


言葉にできない何かに包まれて、
何も話すことが出来なかった。

自分の未熟さや、
生ぬるい生き方が露呈したような
そんな思いが刺すように痛かった。

言葉ではなくて、
何の説明もせずに、
その立ち振る舞いだけで、
心臓を貫くような厳しさや強さ、
優しさや愛を観せる事が出来るなんて。

あの背中は、
ずっと、焼きついて遺る背中だった。

これからも、消えずに。

私も、
多くの言葉を必要とせずに、
自らの立ち振る舞いを持って、
伝えられるような人間で在りたい。

言霊と行い。

魂と体。