これを「リスペクト(尊敬)」って言うのでしょうね。


「Sさん」は、実年齢では19歳年下です。


でも、よくそれを忘れてしまいます。


なんか、「威厳」ってものがあって、「品格」が高い感じ。


実年齢の一回りも二回りも深い感じ。


昔のバンドを解散してから、ニートだった時期があったらしいから、精神的に鍛えられたからかもしれませんね。


私の兄もニートだった時期があったから、何となく分かる気がします。


仕事こそしなくても、いや、していないからこそ、「時間」が重くのしかかるのかもしれません。


精神殺られますよ、逆に。


兄の場合、タバコも吸うし、酒も飲む人だったから、量こそ減らしてもらいましたが、私のバイト代で全部買って上げていました。


私が仕事から帰って来てから、家にいた兄に言うのです。


「タバコ、買って来ようか?」


兄はうつむいて小さな声で答えます。


「お願いします・・・」


兄とは9歳違いますが、流石に肩身が狭く、言いにくいらしかったですね。


だって、私が失業中に兄は音を上げて、


「さっさと仕事を探せ‼️」


そう私に言い放っていたのに、私は、当時の兄より少ない収入でありながら、同じ事は一言も言わないのだから。


兄も私が失業中は、1日間に500円の小遣いをくれました。


でも、私は、お酒を飲んでなかったし、あまつさえ、兄の好きな柑橘類を箱買いして与えていました。


兄は昼間、一人でいる時に家の中で、ちびちび酒を飲み、タバコを吸い、柑橘類を食べながらTVかパソコンをいじって過ごしていたのでしょう。


ちなみに、車のガソリン代も、勿論、出していましたが、外出している感じではありませんでした。


実際に女一人のアルバイトで大の男一人養えるもんでもありませんでした。


たしか、水道料を何ヵ月も滞納していました。


食事休憩には最低限のものか、もしくは、一食抜きました。


その内、もう少し、お金が欲しいだろうなと思って兄にバイトを持ちかけました。


「私の朝食を作るバイト」


トーストとウインナーと目玉焼きだったかな。


それで、まとめて前金で小遣いをあげました。


そんなに金額は大きくないけど、1回タバコ1個におつりが来る位をまとめて上げるからタバコを節約して別の事にもつかえるだろうと思いました。


それまでは、現金を渡していなかったのです。


ただ、バイトなんて口実なので、ギリギリまで寝ていて食べずに仕事に行く事もありました。


食べようと食べなかろうとバイト代は同じですが、食べないと兄は不服そうでした。


バイト料に余裕は全くなく、初めてもらったボーナスの1万円も、全部、兄に使いました。


結局、私の当時の喫茶店は、最初から駅ビルの一部だったので、駅が改装される時には一緒に壊されるという約束でした。


そして、とうとう、「その時」が来て、私は、失業保険をもらいながら仕事を探さなくてはいけなくなりました。


失業保険は、給料より額が減るので、兄に覚悟を決めて言いました。


「もう、養って上げられない・・・」


兄は、思ったより明るく言いました。


「なんとかなるよ(笑)」


兄はニートをやっている間に前の仕事で受けた心の傷も軽くなっていたのか、自分も仕事を探し始めました。


とにかく、すぐ働ける給料の安い警備の仕事につきました。


私は、その失業保険が切れる前に障害者年金をもらう事に決めて仕事はしない事に決めました。


障害者年金は、失業保険より、更に金額が少ない物でした。


私は無駄を徹底的に省きました。


そうして、私らの新しい生活が始まりました。


給料は安かったけど仕事が気に入ったような事を言っていたけれど、実際は、お金も私が助けてくれるだろうと当てにしていたから決めたとか言っていました。


兄は結局、その仕事が人生で1番長く続いたと言って、その仕事のまま死にました。


途中、資格を取って昇給したり、休みの日に同じ系列の会社の掃除のバイトを入れたりしていました。


最後辺りは、やはり、人間関係に悩んだらしく、色紙を買って来ては、文句を俳句か何かのように殴り書きして、ストレスを発散していました。


老朽化した木造の家を壊すお金を会社に借りました。


なのに、返す前に、ある日、兄は私に言いました。


「仕事、辞めたい・・・」


聞けば、上司の留守電にその旨を録音したという。


「仕方ないね。辞めても良いよ」


「ありがとう・・・」


そう言ってしまってから、少し、時間をおいて思い直して兄に言いました。


「いや、やっぱり、そこは頭を下げてでも働かせてもらうべきじゃない?」


兄もそれで次の日に、とりあえず、仕事場に行き、上司が何も言わないので、仕事をして来て山は乗り越えたらしい。


そんな兄の一連の事を思うとニートから這い上がるって並み大抵の事じゃないと分かる気がします。


今の私も仕事をしていないから、ニートみたいなものだし。


そういう「シンパシー(共鳴・共感)」が私たちにはあるのかな?


今、「Sさん」がここまで来た努力は並々ならないと思いますよ。


それが「威厳」に変わり、「リスペクト(尊敬)」すら感じさせるのでしょうか。


そんな「Sさん」も超えて来ただろう過程を感じるからか、何故か、私は、「Sさん」に金銭的に頼ろうって気になりません。


逆に半年後、引っ越して、「Sさん」と一緒に暮らす約束の言質をもらった今、「今度は私の番だ」って感じています。


半年のバイト生活で、まず、目標「30万円」貯める‼️


今度こそ、私の社会復帰の始まりです。


ご視聴、ありがとうございました。