昨日、「当分、来ないからね」って言い残して帰って行った岩佐さんが、お金を返しに来ました。


「3千円」


それで、かれこれ、キッチリ3時間も玄関先で、いつか聞いた同じ話を繰り返して、一方的に聞かされました。


私は親戚の叔母の所に手みあげを持っては、片道30分位歩いて叔母の家に通った時代を思い出しながら聞いていました。


「また、修行の日が来たか(笑)」


叔母の所には、何年位通ったかな?


初めは、「達之(兄)の妹か」って事で、私の印象も良くなかったらしい。


確か、扱いもそんなに良くなかったはず。


でも、それは、確か当時の叔母の性格がそうだったからという記憶があります。


若い頃、結婚して、2人の子供がいたのに、旦那さんに浮気されて別れた過去があり、宗教を学んだ末、宗教教師の資格を取り、それも形だけになった頃のお話だったと思います。


娘と息子も初めは、元・旦那さんと結婚した浮気相手の所に一緒に行っていたのを後で叔母が引き取る事になりました。


そういう経緯もあり、娘を可愛がり過ぎて、ワガママに育ててしまったらしく、当時から娘とも上手く付き合えていなかったはず。


娘は叔母の宗教絡みの話や昔話を「ああ、それ、前に聞いたよ」と言って聞いてくれなかったとか言っていました。


叔母は小さな洋品店を兼ねた一軒家に一人で住んでいました。


娘は遠くに家を建て、その洋品店の品物をお得意さんに売りに行く為に通って来ていました。


だから、私が遊びに行くと大抵、叔母は1人でテレビを見ながら店番をしていました。


店の奥に6畳位の畳の部屋があり、私は、いつも、持っていった手みあげの和菓子に熱い緑茶を入れてもらいつつ、色んな話をほぼ毎日聞いていました。


宗教の話、昔の苦労話、姓名判断や占いの話、親戚の話・・・。


ほぼ毎日、それこそ、同じような話を毛穴から染み込む位、聞き続けました。


結果、気難しかった叔母も色んな交流を経て、柔和な穏やかな人に変わったみたいでした。


別れた旦那さん夫婦とも家族ぐるみの付き合いをする位になり、娘も離婚したらしいのに、やはり、旦那さんの新しい家族と良い関係になれたとか。


ただし、私もその後、色々あり、叔母とは疎遠になっていたのですが、その間に、また多少、上手く行かない部分も出て来てはいるとは聞きました。


結局、私の「修行(同じ話を聞く)」は、私自身の性格を形成する為にもなったけれど、叔母の精神を安定させ、状況を良くする効果がありました。


それを、今、岩佐さんで再び繰り返している状態です。


そう言えば、私は学生の頃、カウンセラーになりたくて勉強していた頃がありました。


遺伝子工学とかにも興味がありました。


結局、早い段階で、「女は学歴なんかなくて良い。学校を止めさせて、家で働かせろ」と本家に言われた為に途中で、進路変更を余儀なくされました。


結局、色々ありまして、自分の運命に逆らったのですが、カウンセラーも、結局、お金儲けでやりたくないなと思うようになっていました。


自分の人生で、縁した数少ない人達だけでも良いから、無償で、心を救って行けたら良いなと思うようになりました。


カウンセラーの勉強は、マトモにした事はないので、あくまで「独学」と「性格」と「経験」だけを元に、時々、こんな風な「修行状態」に入る事があります。


「ご縁」です。


誰でも彼でもって訳には行かない。


主に「おばさん」や「おばあさん」が多いかな。


若い娘とかもいたけれど、「若さ」とは「強さ」だと私は思います。


だから、取り立てて心配する程の事もなかったりするけれど、年配の方達は深刻だったりします。


いつかも、老人性の鬱病だったおばあさんを治し、彼女の性格を明るくした事があります。


彼女も初めは気難しい人のように思われていました。


昔から脳の病気になって言語障害になった息子と近所に暮らしていました。


私は小さい頃から、その年上の障害者年金受給生活をしていた男性を「あんちゃん」と呼んで親しくしていました。


顔を見かけては、道の端に腰かけて彼の片言の分かりにくい言葉の話を聞いていたご縁です。


初めは、その「あんちゃん」と交流をしていて、たまに、相手の家に用事で行った時とかにおばあさんとも顔を合わせていました。


うちのスーパーにも来ていて、母と顔見知りで、よく、うちの母にも世話になったと言っていましたね。


その息子さんが癌で先立ってから、おばあさんは、鬱病になったらしく、お墓参りに行っては泣いていたと娘さんに聞きました。


娘さんは結婚していて、別の場所に住んでいたのでおばあさんは、1人で暮らしていました。


私がやはり、毎日、手土産を持って行っては話をしている内に、夜に家に泊まりに来てとねだられる事もありました。


でも、近所の人に「もし、泊まっている時におばあさんが死んだら刑事的に色々調べられて面倒な事になるから、止めておきなさい」と言われていて、泊まるまではしませんでした。


私も色々と忙しい人なので、気がつくと1ヶ月とか間が空いたらしく、娘さんも、とうとうおばあさんを説得して施設にいれました。


私は行ける範囲にあったその老人ホームにも一度、お花とケーキを買って様子を見に行きました。


そこは、週に1~2日帰宅しなくてはいけなかったので、別の遠い老人ホームに移って、結局、そこで亡くなったと風の噂で聞きました。


最後まで笑っていたと娘さんにお礼を言われた事もありました。


ご縁がある度に、私は人の話を根気よく聞いては、人間関係を改善する役割を担います。


今も朝から近所の人を連れて、家に「猫みせて」と遊びに来ました(笑)。


また、岩佐さんも人間関係が広がったみたいです。


私もね(笑)。


私の「修行の日々」は続きます。