何度だって繰り返せば良い。

 

それが、本物の騙しだったとしても、Girl、君の愛を持ってすれば、相手はいつしか本物の愛に気付くだろう。

 

君はただ、誰しも得る事の出来なかったその相手達を本気にさせて、受け取るばっかりの準備がなされるのを微笑んで待っているだけで良いんだ。

 

だけど、君は、いつも同じ。

 

ひねくれていた相手の心を真っ当にさせた途端、離れて行ってしまう風船のよう・・・風に流されて消えて行く。

 

「どうして?」

 

こんなに素直に愛情を表現出来るようになった僕をどうして、一人ぼっちにして、行ってしまうの?

 

君はきっと知っていたからなんだね。

 

彼の最初のアプローチは、本当は、ただの「騙し」だったんだって事を知っていた。

 

知っていたのに、本物の愛情を注ぎ続けた。

 

結果、最後に彼の心をがっちりと掴んでしまい、本物の気持ちに変えてしまう魔法を使うんだ、いつも。

 

改心したのにおいてきぼりの彼は、残された本物の愛の余韻を頬に感じたまま、ふらふらと元、自分のいた闇の世界の方向に歩いて戻って行く・・・。

 

知ってしまった本物の甘い甘い愛の香りに麻薬が切れたジャンキーのように暴れ出してさえいるかもしれないのに。

 

今、君は、そんな過去の愛を思い出しているのかい?

 

今の人も自分を騙そうと近づいて来て、終いに愛を知って、改心しただけの男だと・・・思っているのかな。

 

どう、思う?My Girl?

 

そして、どうする?

 

君は珍しく足を止めてうずくまっている。

 

この男の影の中で、出たくないと思っている。

 

どうしたの?Girl。らしくない。

 

「本物の愛を知った」

 

驚いた事にそう言ったのは・・・Girl、君の方だった。

 

そう、彼は、元から騙そうとなんてしていなかった。

 

ただ、不運なミスに困り果てて、君の優しさの陽炎に惹かれた、ただの一人の真面目な男だったらしい。

 

良かったね、Girl。出逢ったよ。

 

君に合った、本物同士の愛に君は初めて出逢ったんだ。

 

もう、逃げないで、そこでお休み。

 

グッドナイト!