ここのところ、めっきり「ときめき」と縁遠くなった。
反比例して、似たような体の反応「動悸」が増えた。
何をしなくても身体がカーーッと熱くなり、汗が噴き出る。
この更年期症状「ホットフラッシュ」が起き始めてから、みるみるときめかなくなった。推し活をしている同世代の女性たちは一体どうやってあの気持ちの高ぶりを堪能しているのだろう。うらやましい。コツがあるのなら教えてもらいたい。
悲しいが、私の身体と心は密接につながっているらしい。
もう異性にはときめく必要がない…そういうことなんだと思う。
そんな私が昨日、めちゃくちゃときめいた。
大快挙である。
たまたま図書館で「山菜取り」の本を見つけたのだった。
物価高のせいで、最近の私の頭の中は「無料(タダ)」ということにものすごく敏感だ。
もともと敏感だったのが、今はもう完全に脳を「タダ」に支配されている。
似ているけれど「お得」はダメ。ぼちぼち長くなってきている人生で「お得感」には何度も騙されてきた。結局、何かを買っているうちは得でないどころか、得を得んがために損を引き受けるような真似をしょっちゅうしてしまう。
つまらない駆け引き抜きで、私にプレゼントをしてくれるのは「大地」。今いちばん欲しいものは日当たりの良い「土地」。しかし我が家には日陰の苔だらけの庭しかない。
日陰でも勝手に育つ食べられるもの。
それが今、最も気になるものである。
「日陰でも勝手に育つ食べられるもの」に関することなら何でも知りたい。
「日陰でも勝手に育つたべられるもの」のことばかり考えてしまう。
もしくは、勝手に採集して良い、食べられるもの。
そう言えば去年の秋頃、私の心を支配していたのは「むかご」だったな。
むかごは昨年の秋に結構な量をご近所で採集し、レンチンして塩味で食べたし日陰の苔だらけ庭にも撒いた。
今の季節は「山菜」。
山菜には、そこまで日当たりを求めないものもいるらしい。コゴミとかゼンマイとか。庭に移植できないだろうか。先日、近所の土手から移植した「アサツキ」は、我が家の日陰の庭でもかろうじて起立したままでいてくれている。山菜たちもなんとか仲間に加えたい。
すっかり長くなってしまったが、そんなことを考えているさなかに見つけた本だった。
表紙のグリーンを見ているだけで久しぶりに幸せな気持ちが広がった。この中にタダで食べられるものについていっぱい書いてある…そう思うだけでときめいた。
今、私が手にできる最短ルートのときめき。
近所の土手に行けば(そして周りの目を気にしなければ)手に入るときめき。
ドキドキしながらページを捲る。ああ、たくさん、こんなにもたくさん、タダで食べられるものがあるのか…。
50代まで生きて、山菜にたどりついてしまった。20代までは苦くて食べられなかったし、30代の頃には地味な草でしかなかった。40代は忙しくて思い出す余裕がなかった。
このところ雨続きだが、晴れたらゆっくりと散歩しながら山菜を摘みに行きたい。